「従業員の残業時間がなかなか減らない…」「有給休暇をもっと取得してもらうにはどうしたらいいのだろう…」中小企業の経営者や人事担当者のみなさまは、日々このようなお悩みを抱えているのではないでしょうか。
働き方改革の必要性は理解していても、「何から始めたらいいか分からない」「人手や時間が足りない」といった課題に直面している企業も多いかと思います。
そこで、企業がスムーズに「働き方改革」を進めるための支援策として「働き方改革推進支援助成金」があります。働き方改革推進支援助成金を活用することで、働き方改革に必要な取り組みを進めやすくなり、従業員が働きやすい職場環境を実現できます。
本記事では、令和7年度の最新情報をもとに、助成金の概要や対象企業、申請内容、注意点などを分かりやすく解説します。「手続きが難しそう…」「うちの会社でも活用できるの?」といった疑問を解消しながら、スムーズに申請を進めるためのポイントもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください!
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働き方改革推進支援助成金とは?
働き方改革推進支援助成金とは、中小企業が労働時間の短縮やテレワーク導入、人材育成などの働き方改革に取り組む際に、その費用の一部を国が補助する制度です。
近年、少子高齢化による労働人口の減少が進む中、人材不足の深刻化が課題となっています。また、労働環境を見直し、働きやすい職場環境を実現することは、企業の成長にとっても重要なテーマです。この助成金を活用することで、従業員が働きやすい環境を整えながら、生産性向上を実現することが可能になります。
令和7年度の変更点と注目ポイント
働き方改革推進支援助成金は毎年内容が見直されており、令和7年度も企業のニーズに応じた改定が行われています。特に、より効果的に労働環境を改善できるよう、助成対象の拡充や支給要件の変更が予定されています。
「どのような取り組みが助成対象になるのか?」「昨年度との違いは?」といった点を把握しておくことで、自社にとって最適な活用方法を見つけやすくなります。
助成金のコースと特徴
働き方改革推進支援助成金には、目的に応じた4つのコースが用意されています。
- 業種別課題対応コース
- 労働時間短縮・年休促進支援コース
- 勤務間インターバル導入コース
- 団体推進コース
各コースには異なる要件や助成額が設定されているため、自社の課題や目指す方向性に合わせて最適なコースを選ぶことが、助成金を有効活用するポイントとなります。
次のセクション以降にて、具体的な助成対象や申請条件について詳しく解説していきます。
助成金の対象となる企業と主な申請要件
働き方改革推進支援助成金は、主に中小企業を対象とした制度です。ただし、コースごとに対象企業の詳細な要件が定められており、すべての中小企業が同じ条件で申請できるわけではありません。
たとえば、業種別課題対応コースでは、建設業、運送業、病院業などの特定の業界における課題解決を目的とした取り組みが助成対象となります。そのため、業種ごとに異なる基準が設けられている場合があります。申請を検討する際は、まず自社がどのコースの対象企業に該当するかを確認することが重要です。
次に、助成対象となる取り組みについてです。助成金を申請するには、「支給対象となる取り組み」の実施と「成果目標」の達成が求められます。
また、各コースによって支給対象となる取り組みや成果目標の内容が異なるため、自社の課題や目標に適したコースを慎重に選択することが大切です。
次のセクションでは、働き方改革推進支援助成金の各コースの概要について詳しく解説します。
働き方改革推進支援助成金のコースと助成額
働き方改革推進支援助成金には、企業の課題や目標に応じて選択できる4つのコースが用意されています。それぞれ、対象となる事業主や支給要件、助成額が異なるため、自社の取り組みに最適なコースを選択することが重要です。以下に、各コースの概要を紹介します。
業種別課題対応コースの概要
このコースは、時間外労働の上限規制が適用される特定の業種を対象とし、時間外労働の削減や週休2日制の推進など、労働環境の改善に取り組む中小企業を支援する助成金制度です。
対象事業主
以下のすべてに該当する中小企業事業主が対象です。
支給要件:助成対象となる取り組み
以下のいずれか1つ以上の取り組みを実施する必要があります。
支給要件:成果目標
下記の成果目標1〜6のうち1つ以上を選択し、達成を目指す必要があります。業種によって選択可能な目標が異なるため、注意が必要です。
助成額
「成果目標」の達成状況に応じて、助成対象となる取り組みに要した経費の一部が助成されます。助成額は、以下のいずれか低い額となります。
- 設定されている成果目標1~6の上限額および賃金加算額の合計額
- 対象経費の合計額×補助率3/4
課題別にみる助成金の活用事例や、各成果目標における助成上限額など、厚生労働省のサイトに詳細が掲載されています。業種別課題対応コースを検討されている場合、厚生労働省のサイトをご確認ください。
参考;厚生労働省HP 働き方改革推進支援助成金(業種別課題対応コース) 働き方改革推進支援助成金(業種別課題対応コース) |厚生労働省
労働時間短縮・年休促進支援コースの概要
このコースは、労働時間の削減や年次有給休暇の取得促進に向けた取り組みを行う中小企業に対し、助成金を支給する制度です。
対象事業主
以下のすべてに該当する中小企業事業主が対象です。
支給要件:助成対象となる取り組み
以下のいずれか1つ以上の取り組みを実施する必要があります。
支給要件:成果目標
下記の成果目標1〜3のうち、1つ以上を選択し、達成を目指す必要があります。
助成額
「成果目標」の達成状況に応じて、助成対象となる取り組みに要した経費の一部が助成されます。助成額は、以下のいずれか低い額となります。
- 設定されている成果目標1~3の上限額および賃金加算額の合計額
- 対象経費の合計額×補助率3/4
参考;厚生労働省HP 働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コースの概要)働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース) |厚生労働省
勤務間インターバル導入コース
このコースは、勤務終了後、次の勤務までに一定時間以上の「休息時間」を設けることで、従業員の健康管理や労働時間の改善を目的として、勤務間インターバル制度の導入を支援する助成金制度です。勤務間インターバル制度の導入は、平成31年4月から努力義務化されています。
対象事業主
以下のすべてに該当する中小企業事業主が対象です。
支給要件:助成対象となる取り組み
以下のいずれか1つ以上の取り組みを実施する必要があります。
支給要件:成果目標
本助成金を受給するためには、以下の「成果目標」を達成することを目指して取り組む必要があります。
助成額
「成果目標」の達成状況に応じて、助成対象となる取り組みに要した経費の一部が助成されます。支給額は、対象経費の合計額に補助率 3/4(※) を乗じた金額となりますが、所定の上限額を超える場合は上限額までの支給となります。
※常時使用する労働者数が30人以下で、助成対象となる取り組みのうち(6)から(7)を実施し、その所要額が30万円を超える場合、補助率は 4/5 となります。
参考;厚生労働省HP 働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース) 働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース) |厚生労働省
団体推進コース
このコースは、事業主団体等が傘下企業の労働条件改善を支援するためのものです。具体的には、事業主団体が中心となり、時間外労働の削減や賃金引上げを促進することで、傘下企業全体の労働環境を改善し、働きやすい職場づくりを目指すことを目的としています。
対象事業主
団体推進コースでは、他のコースと異なり、支給対象となるのは個々の企業ではなく、一定の要件を満たした事業主団体等です。対象となるのは、次のいずれかに該当する団体です。
また、共同事業主の場合、労災保険の適用事業主であることや、各種法律に基づく事業主としての適格性が求められるため、要件を事前に確認しておくことが重要です。
支給要件:助成対象となる取り組み
以下のいずれか1つ以上の取り組みを実施する必要があります。
支給要件:成果目標
助成の対象となる取り組みは、以下の「成果目標」の達成を目指して実施する必要があります。
助成額
「成果目標」の達成に向けた取り組みをおこなった場合、支給対象となる経費の一部が助成されます。助成額は、以下のいずれか低い額となります。
- 対象経費の合計額
- 総事業費から収入額を控除した額(例えば、試作品を試験販売し収入が発生した場合、その収入を控除した額)
- 上限額500万円(ただし、構成事業主が10以上の事業主団体等で、都道府県単位または複数の都道府県単位で構成される場合は1,000万円)
参考;厚生労働省HP 働き方改革推進支援助成金(団体推進コース) 働き方改革推進支援助成金(団体推進コース)|厚生労働省
申請の流れとスムーズな手続きのための準備
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働き方改革推進支援助成金を申請するには、事前準備をしっかり行い、適切な書類を提出することが重要です。このセクションでは、申請の大まかな流れと、スムーズな手続きのための準備について、ステップごとにわかりやすく解説します。
申請の流れ
申請は以下のステップで進めます。
- 事前準備
- 申請するコースを決定し、申請要件を満たしているか確認
- 必要な書類の準備
- 事業実施計画の作成
- 交付申請/交付申請書の提出
- 所定の交付申請書を作成し、必要書類とともに所轄の労働局に提出
- 申請期限を厳守
- 審査・承認
- 提出書類の審査が行われる
- 不備がある場合、追加書類の提出が求められることがある
- 交付・不交付の決定/事業の実施
- 交付決定後、計画に沿って助成対象となる取り組みを実施し、成果目標の達成を目指す
- 事業実施期間中も、必要書類の保管や記録を怠らないこと
- 事業完了報告/支給申請
- 事業完了後、支給申請書を作成し、労働局に提出
- 労働局により支給・不支給の審査が行われ、問題がなければ助成金が支給される
申請期限
2025年度の交付申請書の申請期限は、現時点では公開されていません。参考までに、2024年度の締切日は、2024年11月29日(金)でした。
事業完了後の支給申請書の申請期限は、以下のいずれか早い日となります。
- 事業実施予定期間が終了した日から起算して30日後
- 年度で指定する日(2024年度は2025年2月7日(金))
期限を過ぎると申請が受理されないため、余裕を持って準備を進めましょう。年度ごとに変更される可能性があるため、最新の情報を必ず確認してください。
必要書類
必要書類は、申請するコースや企業の状況によって異なります。申請時に必要な主な書類は、以下のとおりです。
- 交付申請書(指定の様式に記入)
- 事業実施計画書(助成対象となる取組の詳細を記載)
- 労働者名簿、賃金台帳、経費の支出を証明する書類など
- その他、労働局長が必要と認める書類
- 団体推進コースの場合:団体の活動実績を証明する書類(例:定款、会則、過去の事業報告書など)
書類に不備があると審査が遅れる可能性があるため、記入漏れや添付資料の不足がないように注意しましょう。
申請時のポイントと専門家の活用
働き方改革推進支援助成金の申請には、いくつか注意すべきポイントがあります。特に、不備があると審査が遅れたり、最悪の場合、申請が通らなかったりする可能性もあります。
また、専門家のサポートを受けることで、よりスムーズに手続きを進め、助成金の受給可能性を高めることができます。ここでは、スムーズな申請を進めるためのポイントを紹介します。
支給要件の確認
自社が申請するコースの支給要件を確認・理解し、満たしていることを確認しましょう。要件を満たしていない場合、申請が認められません。
書類の整合性をチェック
計画書と実績報告の内容が矛盾していないか確認しましょう。不一致があると、審査がスムーズに進まない可能性があります。
必要書類の準備
必要書類は、コースや企業の状況によって異なります。不足や不備がないよう、事前に確認し、余裕をもって準備しましょう。
申請期限を厳守
申請期限ギリギリになると、書類の修正ができなくなる可能性があります。余裕をもって提出し、期限を過ぎると申請が受理されないことを忘れないようにしましょう。
専門家である社労士の活用
助成金の申請には、専門的な知識や経験が必要です。社労士を活用することで、以下のサポートを受けられます。
- 申請書類の作成・届出代行
- 支給要件の確認
- 計画の策定・成果目標
- 追加書類の対応
社労士に依頼することで、申請の成功率を高め、手続きを簡略化し、本業に集中できる環境が生まれます。また、申請の不備によるトラブルを防ぎ、人事担当者の負担を軽減できます。
まとめ
働き方改革推進支援助成金は、企業が労働環境の改善に取り組む際に活用できる制度であり、助成金を上手に活用することで、経済的な負担を軽減しながら働き方改革を進めることができます。
助成金を活用しながら働き方改革に取り組むことで、以下のようなメリットを得られます。
- 生産性の向上:業務効率化や労働環境の改善により、従業員のパフォーマンスが向上します。
- 従業員の健康維持:長時間労働の是正やワークライフバランスの向上により、従業員の心身の健康が保たれます。
- 人材定着・新規雇用の促進:働きやすい職場環境を整えることで、従業員の定着率が向上し、新たな人材の確保にもつながります。
ただし、助成金の申請には細かい要件や期限があるため、事前準備をしっかり行い、必要な書類を整えておくことが大切です。申請手続きに不安がある場合は、社労士などの専門家のサポートを受けることで、スムーズな申請と確実な受給が期待できます。
働き方改革は、単なる制度対応ではなく、企業の成長や従業員の満足度向上にもつながる重要な取り組みです。本記事を参考に、助成金を上手に活用しながら、より良い職場環境を実現していきましょう。
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