【100億宣言】中小企業成長加速化補助金とは?概要や申請方法をわかりやすく解説

令和7年度から新たに実施される「100億宣言」という制度。中小企業が大きく成長するために売上100億円を目標とし、その実現のための取り組む内容を宣言する制度です。

この100億宣言を行い、売上100億円を目指す事業者を支援するため、経済産業省では大規模な補助金制度「中小企業成長加速化補助金」を設けています。そこでこの記事では中小企業成長加速化補助金について、制度の概要やどのように活用できるのか、補助金の申請方法、補助金を受け取るまでの流れ等についてわかりやすく解説します。

助成金・補助金に強い社労士・行政書士をお探しなら!

累計6,000社以上を支援した実績豊富な助成金・補助金の専門チームが、
貴社のご相談に丁寧に対応いたします。


目次

100億宣言は売上高100億円を目指す中小企業の支援する制度

中小企業成長加速化補助金を説明するにはまずその前提となる「100億宣言」を知る必要があります。100億宣言とは中小企業が売上高100億円を目指して成長することを支援する制度です。令和7年5月から開始される制度で、100億宣言の特設サイトで「売上高100億円を目指します」ということを中小企業自ら宣言します。この宣言をすることで専用の補助金が使えたり、各種優遇措置を受けられたりするのです。

その支援制度の1つが中小企業成長加速化補助金です。

あわせて読みたい
『100億宣言』とは?申請のメリットやもらえる補助金を解説 令和7年度から新たに「100億宣言」という制度が始まります。これは、中小企業が売上100億円を目指して事業計画を宣言することで、国からのサポートを受けられる制度です...

中小企業成長加速化補助金は大規模な設備投資を支援する補助金

中小企業成長加速化補助金の概要

中小企業成長加速化補助金は令和7年度に新たに始まる補助金制度です。「100億宣言」を行い、100億宣言のポータルサイトに公表されている事業者が申請できます。

中小企業が売上100億円を達成するために必要な大規模な設備投資を支援する補助金で、工場、物流拠点などの新設・増築、イノベーション創出に向けた設備の導入、自動化による革新的な生産性向上等が想定されています。

中小企業成長加速化補助金の対象となる経費

中小企業成長加速化補助金では建物費、機械装置費、ソフトウェア費、外注費、専門家経費を補助対象としています。特に注目すべきなのは建物費です。計画遂行において必要不可欠であれば新築はもちろん、既存建物の増改築、中古建物の取得費用まで補助対象になります。ただし、建物の単なる購入や賃貸、土地代は補助対象外となります。また、門やフェンス等の外構に係る費用、広告塔、駐車場等のアスファルト舗装等の構築物も補助対象外になるのでご注意ください。

補助上限額は5億円・補助率は1/2

中小企業成長加速化補助金の補助上限額は5億円で設備投資を支援する補助金制度としては比較的大規模です。補助率は1/2であるため、設備投資額の最大半額が補助されるイメージです。

例えば、物流拠点の整備に合計で1億円かかった場合はその1/2の5千万円が補助されます。また、新しい工場の建設に合計12億円かかった場合は補助上限額である5億円が補助されます。

さらに中小企業成長加速化補助金には投資下限額が1億円に設定されています。投資下限額とは補助金をもらうために最低限必要な投資額のことです。補助金を申請するためには1億円以上(外注費及び専門家経費を除いて算定)の設備投資を計画する必要があり、1億円に満たない投資額では申請できないということになります。

補助対象者は売上高10億円以上の中小企業

補助対象となる事業者は中小企業です。中小企業とは中小企業等経営強化法という法律で決められている規模よりも小さい規模の事業者を指します。規模が大きい事業者(大企業)や財団法人、社団法人、医療法人及び法人格のない任意団体は補助対象から外れていますのでご注意ください。

出典:中小企業成長加速化補助金(1次公募)公募要領

また、申請を行いたい企業が中小企業に当てはまっても、その企業の株式を大企業が保有している場合や大企業から出資を受けている場合は「みなし大企業」として対象外となってしまう場合がありますので、ご注意ください。

出典:中小企業成長加速化補助金(1次公募)公募要領

中小企業成長加速化補助金では中小企業に当てはまる事業者であり、かつ次の①~⑤等の要件もあります。

  1. 売上高が10億円以上100億円未満であること。
  2. 日本国内において登記された法人であり、国内に事業実施場所を有していること。
  3. 収益事業を行っていること。
  4. 国内金融機関に口座を有し、日本円で精算を行うことができること。
  5. 公募開始日時点において、確定している直近3年分の各年又は各事業年度の課税所得の年平均額が15億円を超えていないこと。

特に売上高が10億円以上であることという部分が重要です。直近期の決算の売上高を確認しましょう。

中小企業成長加速化補助金を活用するには賃上げが必要

中小企業成長加速化補助金を活用するためには、賃上げを実施しなければなりません。

賃上げのルールは公募要領で「補助事業が完了した日を含む事業年度(基準年度)の給与支給総額又と比較した、基準年度の3事業年度後(最終年度)の給与支給総額の年平均上昇率が、補助事業実施場所の都道府県における直近5年間(2019年度を基準とし、2020年度~2024年度の5年間を指す)の最低賃金の年平均上昇率以上であること」記載されています。

これだけではわかりにくいので具体的な数字を入れて説明します。

東京都に本社を構える事業者が北海道で製造拠点を構える事業を申請する場合で考えてみましょう。

この事業者の場合、“事業実施場所”は北海道です。北海道の年平均上昇率は3.2%で、この数値は公募要領に都道府県別で記載されており、これを基準率として使用します。

出典:中小企業成長加速化補助金(1次公募)公募要領

次に基準年度の給与支給総額が2億円であると仮定した場合、最終年度の給与支給総額(x)は基準率である3.2%以上である必要があるので、約2億2000万円以上である計画を立てる必要があります。

計算式 {(x/2億円)^(1/3)}-1≥0.032
x≥219,820,953

この賃上げのルールに当てはまるように収益計画を立て、従業員に表明した上で、補助金の申請時に計画値として提出します。補助金を受給した後もこの賃上げルールを達成できたかどうか補助金事務局が確認し、達成できなかった場合には補助金の返還を求められる場合もありますので注意しましょう。

助成金・補助金に強い社労士・行政書士をお探しなら!

累計6,000社以上を支援した実績豊富な助成金・補助金の専門チームが、
貴社のご相談に丁寧に対応いたします。


第1回公募は令和7年6月9日17時まで

中小企業成長加速化補助金の第1回公募のスケジュールは令和7年5月8日(木)~令和7年6月9日(月)17時までです。第1回公募の公募要領は既に公表されており、jGrantsという電子申請サイトで確認することができます。実際の補助金申請の際もjGrantsから電子申請することになりますので、確認しておきましょう。

中小企業成長加速化補助金の申請から補助金受給までの流れ

中小企業成長加速化補助金の申請は電子申請で行う

中小企業成長加速化補助金の申請はjGrantsというサイトを利用して電子申請で行います。電子申請を行うためには申請事業者にがGビズIDプライムというIDを取得する必要がありますので、取得していない事業者は予め取得しておきましょう。

また申請には次の①~④の書類データが必要です。

  1. 投資計画書(様式1)
  2. 投資計画書別紙(様式2)
  3. ローカルベンチマーク(様式3)
  4. 直近3期分の決算書(貸借対照表、損益計算書、販売費及び一般管理費明細、製造原価明細書)

特に①と②は審査員が補助金を交付するか否かを決める際の重要な書類です。自身の計画が“補助金を交付するべき事業である”と判断してもらえるような計画を作成する必要がありますので、入念に準備を行いましょう。

①~④は全事業者に提出が求められる書類ですが、この他にも金融機関による確認書やリースに関する書類の提出が必要な場合があります。申請準備をする際には必ず公募要領を確認するようにしましょう。

審査方法と採択

公募期間が終了したら補助金の事務局が申請内容を審査し、採択事業者を決定します。中小企業成長加速化補助金は採択制の補助金制度であるため、要件に当てはまっているかという形式的な審査だけではなく、計画の有効性や実現可能性等を確認する内容の審査も実施されます。そのため、申請した全事業者が補助金を受給できるわけではなく、申請した計画の有効性や実現可能性が高いと判断された事業者のみ採択となります。

審査は2段階で行われ、1次審査は書面審査、2次審査はプレゼンテーション審査が想定されています。この2つの審査を通過した事業者が採択事業者となります。

交付決定を受けるまでは事業実施ができない

無事に審査を通過して採択されたとしてもすぐに計画した投資内容を実行(事業実施)できるわけではありません。採択事業者は採択された日から2カ月以内に交付申請という手続きを行う必要はあります。

交付申請では投資を予定している経費の見積書を提出して、補助金対象とできるかや金額の妥当性に関する審査を受ける必要があります。この交付申請を行い、交付決定(審査通過)されなければ、採択をされたとしてもまだ事業実施ができません。もし交付決定よりも前に発注・契約等の事業を実施してしまった場合、その経費は補助対象外となりますのでご注意ください。

事業実施は最大24カ月間

交付決定となったら、交付決定の日から24カ月以内に計画した投資内容を完了させます。上限額5億円と大規模な投資に対応する補助金ですので、24カ月という長い期間が設けられています。計画した投資内容が完了したら、「完了した日から数えて30日を経過した日」又は「交付決定の日から24カ月を経過する日」の早い方の日までに実績報告を行う必要があります。実績報告とは実際に補助金事業として行った内容の報告と、補助対象経費の支払いを行った証憑書類を提出する手続きです。これを行うことにより補助金の最終的な額が確定します。

補助金の最終額が確定したら、補助金事務局へ支払い依頼を行うことで補助金が交付されます。補助金の申請を行ってから補助金を受給するまでには3年ほどかかるケースも想定されますので、補助金を活用する前に資金調達の方法を考えておきましょう。

申請を検討するならSATO行政書士法人にご相談ください

中小企業成長加速化補助金は令和7年度に新しく開始する制度で、申請のための要件や賃上げの方法、投資計画書の書き方等の申請の為に必要な情報がまだ少ない状況です。補助金を使ったことのある事業者も、補助金を初めて利用しようと考えている事業者も公募要領を読み込み、最大35ページの投資計画書を作成することは容易ではないでしょう。そこで申請要件に当てはまるかの確認から、申請に関するお困りごとまで専門家に相談をするのがおすすめです。

SATO行政書士法人では中小企業成長加速化補助金の申請サポートはもちろんのこと、その前提となっている100億宣言についてもサポートを行います。まずはご相談からお気軽にお問い合わせください。

助成金・補助金に強い社労士・行政書士をお探しなら!

累計6,000社以上を支援した実績豊富な助成金・補助金の専門チームが、
貴社のご相談に丁寧に対応いたします。


よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次