令和7年度から新たに「100億宣言」という制度が始まります。これは、中小企業が売上100億円を目指して事業計画を宣言することで、国からのサポートを受けられる制度です。国のいろいろな補助金を申請するときに有利になったり、税制優遇を受けられたりするメリットがあります。
この記事では、100億宣言とはどのような制度なのか、その概要やどのようなメリットがあるのか、などについてわかりやすく説明します。
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100億宣言とは売上100億円を目指す企業を応援する制度
100億宣言とは、売上100億円という高い目標を目指し、その目標に向けて挑戦する中小企業を支援する制度です。中小企業は「売上げ100億円を目指します」と宣言し、その目標を達成するための計画を中小企業庁等が運営するポータルサイトで公表することでこの制度に参加することができます。
100億宣言の制度の目的は、「中小企業の成長を後押しし、日本経済を活性化すること」です。日本にはたくさんの中小企業がありますが、その多くは成長の途中で壁にぶつかり、大きくなることが難しくなります。そこでこの制度を通じて企業がしっかりと成長戦略を考え、売上を伸ばせるように国がサポートをするのです。
100億円という売上目標は、高く感じますが、100億円の売上があると、新しい事業に投資しやすくなり、企業の成長スピードが加速します。また、銀行からの融資や投資家からの評価も高まり、安定した経営基盤を築ける売上高であることから設定されています。
100億宣言に参加できるのは中小企業
100億円宣言は上場・非上場にかかわらず、売上高100億円を目指す、売上高10億円以上100億円未満の中小企業が申請することができます。
中小企業とは中小企業基本法上の中小企業者又は法人税法上の中小法人のことを指します。それぞれ当てはまる事業者の範囲が少し異なりますが、どちらか一つでも当てはまれば申請が可能です。
① 中小企業基本法上の中小企業者:常時使用する従業員数又は資本金の額が基準以下である事業者(個人事業主を含む)
業種 | 常時使用する従業員数 | 資本金の額 |
---|---|---|
製造業、建設業、運輸業 及びその他の業種(卸売業・サービス業・小売業を除く) | 300人以下 | 3億円以下 |
卸売業 | 100人以下 | 1億円以下 |
サービス業 | 100人以下 | 5千万円以下 |
小売業 | 50人以下 | 5千万円以下 |
② 法人税法上の中小法人:原則、資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人
宣言の受付は令和7年5月から
100億宣言のポータルサイトの開設と申請受付は令和7年5月から開始される予定です。
制度の開始に先立ち、中小企業庁のWEBサイトでは100億宣言の制度紹介と公募要領、申請時のひな型、100億宣言の記載例等が公表されています。宣言内容は大きく分けて5項目です。


- 企業概要(売上高、従業員数等)
- 売上高100億円実現の目標と課題(売上目標と現状の課題)
- 売上高100億円実現に向けた具体的措置(生産体制増強、海外展開、M&A等どのように売り上げを拡大するのか)
- 実施体制 (人材育成や他社との協業等目標に向けた具体的な取組体制)
- 経営者のコミットメント(経営者の意気込みやどのようなビジョンを持っているか等)
この項目以外に、会社のロゴや代表的な商品の写真等も宣言に掲載します。
申請した計画・宣言内容は、100億宣言のポータルサイトにそのまま掲載されることになるので、しっかり内容を検討した上で宣言を行いましょう。
申請するメリットは補助金や税制優遇
中小企業成長加速化補助金の申請ができる
中小企業庁では100億宣言を行った中小企業向けに補助金による支援を設けています。それが中小企業成長加速化補助金です。中小企業成長加速化補助金は売上100億円を目指す中小企業の大胆な設備投資を支援する、補助上限額5億円(補助率1/2)の大型な補助金です。
100億宣言を行うことでこの中小企業成長加速化補助金に申請することができます。中小企業成長加速化補助金に申請するためには他にも要件がありますので、活用したい場合には必ず確認しましょう。

中小企業経営強化税制の拡充措置
中小企業経営強化税制は対象の設備を中小企業が取得・製作した場合に即時償却又は取得価額の10%の税額控除のいずれかを受けられる制度です。
この制度自体はもともと中小企業が経営力向上計画の認定を受けることによって適用を受けることができますが、令和7年度からは売上高100億円超を目指す成長意欲の高い中小企業の設備投資に対しての拡充措置が発表されています。
拡充措置の内容は工場のラインや店舗等の生産性向上に係る設備導入を行う場合にそれに伴って必要となる建物も税制対象の設備に追加されるということです。中小企業成長加速化補助金と合わせて活用することで、大規模な投資への後押しとなります。
この拡充措置は令和7年の夏以降から適用される予定です。
【100億宣言にかかわる拡充措置】
類型 | 要件 | 対象設備 |
経営規模拡大設備 | ▸投資利益率が年平均7%以上 ▸売上高100億円超を目指すロードマップ作成 ▸売上高成長率年平均10%以上を目指す ▸前年度売上高:10億円超90億円未満 ▸最低投資額:1億円 OR 前年度売上高5%以上 ▸賃上げ率:2.5% OR 5.0%以上 | 機械装置(160万円以上) 工具(30万円以上) 器具備品(30万円以上) ソフトウェア(70万円以上) 建物及びその附属設備(1,000万円以上) |
経営者ネットワークに参加できる
100億宣言の制度を主導する中小企業庁では、令和7年夏ごろを目途に「100宣言を行った成長を目指す経営者が、地域・業種を超えて繋がれるネットワークを構築」することを予定しています。この経営者のネットワークに参加することができるという点も100億宣言を申請するメリットの1つと言えます。
100億宣言のロゴマークを活用して自社をPRできる
100億宣言の申請を行い、ポータルサイトに掲載された事業者は100億宣言のロゴマークを使用することができます。名刺やWEBサイト等に掲載し、自社の取り組みをアピールすることができるでしょう。
100億宣言を行うメリットとして現状公表されている項目以外にも、今後活用メニューが増えていく見込みです。
まとめ
100億宣言は、売上100億円を目指す中小企業を支援し、成長を加速させるための制度です。宣言を行うことで、中小企業成長加速化補助金への申請が可能となり、さらに「中小企業経営強化税制」の拡充措置による税制優遇も受けられます。これらのメリットを活かし、企業が成長戦略を明確にしながら、売上100億円達成に向けた挑戦を進めることができます。制度を理解し、自社に活用できるかどうか検討してみてください。
SATO行政書士法人では、100億宣言の申請及び中小企業成長加速化補助金の申請のサポートを行っております。また中小企業経営強化税制を活用するための経営力向上計画の計画作成支援も行っております。申請をご検討されている方、対象になるか確認したい方はぜひお問い合わせください。
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