当社には、代表者の私以外は、パート・アルバイト従業員が15名います。他に正社員は1人もいません。この場合、就業規則を作成する必要はあるのでしょうか?
(答え)
パート・アルバイト従業員しかいない場合であっても、常時10人以上の労働者を雇用する場合は、就業規則を作成し、管轄の労基署に届出なければなりません。これを怠ると、労基署による指導や勧告、場合によっては、30万円以下の罰金という罰則を受ける可能性もあるので注意が必要です。
就業規則が必要な「常時10人以上」はパート・アルバイトも含まれる
労働基準法89条によると、「常時10人以上の労働者を使用する使用者」は、就業規則を作成して、管轄の労基署に届け出なければならないとされています。そして、ここでいう「常時10人以上」を計算する際、労働者の雇用形態は関係がありません。
つまり、正社員だけでなく、契約社員やパートタイマー、アルバイト、臨時工など、雇用形態は関係なくあわせて計算をしなければなりません。そのため、設問であるような、パート・アルバイトしかいない事業場であっても、その人数が10人以上となるのであれば、使用者は就業規則を作成して届出をする義務が発生します。
対象となるのは「常時」10人以上
もういちど、労基法89条をみると、就業規則の作成・届出義務があるのは「常時10人以上の労働者を使用する使用者」となっています。ここでいう、「常時」とは、行政の通知によると「状態として」の意味だと考えられています。
つまり、普段から10人以上の労働者を使用している場合が対象なのであって、一時的な人数の増減は対象にしなくてもよいということになります。
例えば、いつもは8人しかいない事業場で、繁忙期にどうしても人が足りないので、2週間の期間限定で日雇アルバイトを3名採用したとします。この間、事業場の労働者は11人となり、10人以上となりますが、常時ではないため、就業規則の作成・届出義務は発生しないということになります。
このように、就業規則の作成・届出が必要なのは、常時10人以上の労働者がいる事業場なので、10人未満の事業場には、就業規則を作成する必要はありません。ただし、就業規則は会社と労働者の適切な労使関係や、企業秩序の維持に欠かせないものなので、10人未満の事業場であっても、労使トラブルを避けるため、就業規則を作成しておくのがおすすめです。