2024年2月20日、各種助成金の見直し・新設を内容とするパブリックコメントが公示されました。この中で、特定求職者雇用開発助成金についても改正が予定されています。本記事では、特定求職者雇用開発助成金の概要と令和7年度の改正点について説明します。
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そもそも特定求職者雇用開発助成金とは
特定求職者雇用開発助成金とは、高年齢者や障害者など、就職が困難な労働者をハローワーク等の紹介により採用し、継続して雇用した場合に、事業主に支給される助成金です。この制度の目的は、就職困難者の雇用機会を拡大し、雇用の安定を図ることにあります。
この助成金は、対象者や従事する業務の内容によって、以下の5つのコースに分かれています。
- 特定就職困難者コース
- 発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース
- 生活保護受給者等雇用開発コース
- 就職氷河期世代安定雇用実現コース
- 成長分野等人材確保・育成コース
今回、内容が見直されるのは、「発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース」「生活保護受給者等雇用開発コース」「就職氷河期世代安定雇用実現コース」の3つのコースです。
令和7年度の特定求職者雇用開発助成金の改正点
令和7年度から、特定求職者雇用開発助成金の一部コースについて改正が行われます。それぞれの改正内容を見ていきましょう。
生活保護受給者等雇用開発コースは添付書類の一部が省略
生活保護受給者等雇用開発コース助成金は、ハローワークや地方公共団体から支援を受けている生活保護受給者等を継続雇用した事業主に支給されます。
これまで、この助成金を受給する事業主には、「雇入れに係る者の雇用管理に関する事項の把握」に関する添付書類の提出が求められていました。しかし、ハローワークによる定期的な事業所訪問で雇用管理状況を把握できるようになったことを理由に、この記載が削除されます。
就職氷河期世代安定雇用実現コース助成金の廃止と中高年層安定雇用支援コース助成金の新設
就職氷河期世代安定雇用実現コース助成金は、就職氷河期世代で正規雇用に就くのが困難な方を正規雇用した事業主に対して支給される助成金です。
しかし、中高年層をより広く支援する必要があるという点から、この助成金は令和6年度をもって廃止されます。その代わり、新たに中高年層安定雇用支援コース助成金が新設されます。
新設される中高年層安定雇用支援コース助成金は、基本的には就職氷河期世代安定雇用実現コース助成金と同じ仕組みで、支給額も60万円(大企業は50万円)となっています。
ただし、従来の助成金では、過去に正規雇用労働者として勤務したあと、婚姻や妊娠・出産を理由に離職した者は対象外とされていました。この規定が削除され、より広い範囲の求職者が支援対象となります。
発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース助成金は添付書類の省略
発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース助成金は、発達障害者や難病患者をハローワーク等の紹介で継続雇用した場合に事業主に支給される助成金です。
この助成金についても、生活保護受給者等雇用開発コース助成金と同様に、「雇入れに係る者の雇用管理に関する事項の把握」に関する添付書類の提出が不要になります。
その理由として、難病患者就職サポーター等の拡充により、助成金を受給しているかどうかに関わらず雇用状況を把握できるようになったことが挙げられています。
まとめ
令和7年度の特定求職者雇用開発助成金の改正では、主に3つのコースが見直されます。
- 生活保護受給者等雇用開発コースでは、添付書類の一部削除による事務負担の軽減。
- 就職氷河期世代安定雇用実現コースが廃止され、中高年層安定雇用支援コースが新設。支援対象者の拡大。
- 発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コースでも添付書類の一部削除。
これらの改正により、事業主の手続きが簡素化されるとともに、より幅広い求職者への支援が強化されます。ただし、現時点ではまだパブリックコメントの段階なので、これらの助成金を検討している方は、今後の詳細を注視しましょう。
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