社員が入社する際に必要な社会保険・労働保険の手続き

社員が入社する際に必要な社会保険・労働保険の手続き

新しい社員を迎える際、会社にはさまざまな手続きが必要になります。その中でも、社会保険や労働保険の手続きは、社員の生活を守るうえで重要であり、企業の義務でもあります。

 しかし、「社会保険」「労働保険」と聞くと、「どの手続きをいつまでにすればよいのか?」「必要な書類は何か?」と戸惑う経営者や人事担当者の方も多いのではないでしょうか。手続きを適切に行わないと、社員が健康保険を利用できなかったり、万が一のときに補償を受けられなかったりするリスクが生じます。さらに、企業側も法律違反と見なされる可能性があるため注意が必要です。 

この記事では、中小企業の経営者や人事担当者の方向けに、社員の入社時に必要な社会保険・労働保険の手続きをわかりやすく解説します。スムーズに手続きを進めるためのポイントも紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

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目次

入社時に必要な社会保険・労働保険の手続き

① 入社時の社会保険(健康保険、厚生年金保険)の加入手続き

社員が入社した際、社会保険(健康保険と厚生年金保険)への加入手続きを速やかに行う必要があります。以下の書類を準備し、期限内に提出しましょう。

入社時の社会保険(健康保険、厚生年金保険)の加入手続きの必要書類

※健康保険組合に加入している場合、「健康保険被保険者資格取得届」は健康保険組合に提出し、「厚生年金保険被保険者資格取得届」は管轄の年金事務所へ提出する必要があります。

この手続きを完了することで、従業員は健康保険を利用でき、マイナンバーカードを保険証として登録することも可能になります。この手続きが遅れると、従業員が医療機関で健康保険を適用できず、一時的に全額自己負担となる可能性があるため、必ず期限内に対応しましょう。また、年金の納付記録にも影響を与えるため、確実に手続きを済ませることが重要です。

参考:日本年金機構HP 「2-1:従業員を採用したとき」 2-1:従業員を採用したとき|日本年金機構 

扶養家族がいる場合の手続き

従業員に扶養家族がいる場合、被扶養者として登録する手続きが必要です。

従業員に扶養家族がいる場合、被扶養者として登録する手続きが必要です。

参考:日本年金機構HP 「2-3:家族を被扶養者にするとき」 2-3:家族を被扶養者にするとき、被扶養者となっている家族に異動があったとき、被扶養者の届出事項に変更があったとき|日本年金機構 

② 入社時の労働保険(雇用保険、労災保険)の加入手続き

労働保険には雇用保険労災保険の2種類があり、それぞれの手続きについて確認しておきましょう。

雇用保険の手続き

雇用保険の適用対象となる従業員が入社した際は、以下の手続きを行います。

この手続きを行わないと、社員が失業手当や育児休業給付を受けられなくなる可能性があります。必ず期限内に申請しましょう。

労災保険の手続き

労災保険は、労働者であれば正社員・アルバイト・パートなどの雇用形態を問わず、自動的に適用されるため、個別の加入手続きは不要です。ただし、企業は労災保険料を納付する義務があるため、適切な管理を行いましょう。

社会保険・労働保険の加入要件

社会保険・労働保険の手続きを行う前に、従業員が加入対象であるかを確認する必要があります。また、従業員が加入基準を満たしている場合は、加入義務があります。以下に、それぞれの加入要件をまとめました。

従業員がこれらの要件を満たしているのか確認し、適切な手続きをおこないましょう。

①社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入要件

社会保険(健康保険・厚生年金保険)に加入する必要があるかどうかは、事業所の適用区分によって異なります。まず、事業所が 「強制適用事業所」 に該当するか、「任意適用事業所」 に該当するかを確認しましょう。

強制適用事業所

次のいずれかに該当する事業所は、社会保険の加入が法律で義務付けられています。

  1. 法人事業所(株式会社・合同会社など)
    法人であれば、従業員の人数にかかわらず社会保険の加入義務があります。(例:社長1人の会社でも加入が必要)
  2. 個人事業所のうち、常時5人以上の従業員を使用する事業所(※一部の業種を除く)
    • 対象業種:製造業、建設業、運送業、物品販売業、金融業など
    • 対象外の業種:農林水産業、飲食業、美容業などの一部の業種(ただし、法人化している場合は加入義務あり)

任意適用事業所

次のような事業所は、一定の手続きを行うことで、社会保険へ加入することが可能です。

  • 個人事業所で従業員が5人未満の事業所
  • 農林水産業・飲食業・美容業など、強制適用の対象外となる業種の事業所

任意適用事業所は、健康保険のみ・厚生年金保険のみのどちらか一方に加入することも可能です。また、従業員の過半数の同意を得たうえで、事業主が日本年金機構に申請することで社会保険に加入できます。

社会保険へ加入することで、従業員の福利厚生の充実や採用競争力の向上につながるため、加入を検討する企業も増えています。

参考:日本年金機構HP 「任意適用申請の手続き」 任意適用申請の手続き|日本年金機構 

従業員の加入要件

事業所が 「強制適用事業所」 に該当する場合、一定の条件を満たす従業員は、必ず社会保険に加入 しなければなりません。

  • 正社員(常勤従業員)→ すべて社会保険の加入対象 です。
  • パート・アルバイト(短時間労働者)→ 以下の条件を満たす場合、社会保険の加入対象 になります。
    1. 1週間の所定労働時間が20時間以上
    2. 雇用期間が2カ月を超えて見込まれること(学生アルバイトを除く)
    3. 賃金が月額88,000円以上(年収106万円以上)
    4. 従業員数が51人以上の企業

※従業員数が「50人未満」の企業では、パート・アルバイトの加入義務はありませんが、希望すれば加入できるケースもあります。

②労働保険(雇用保険、労災保険)の加入要件

雇用保険の加入要件

雇用保険は、従業員が失業した際の生活支援や、育児・介護休業中の給付を受けるための制度です。

雇用保険の適用対象となる事業所
  • 1人でも労働者を雇用している事業所
  • 法人・個人事業主ともに対象
雇用保険の加入対象となる労働者

次の3つの条件をすべて満たす場合、雇用形態に関係なく雇用保険に加入しなければなりません。

  1. 1週間の所定労働時間が20時間以上 である
  2. 31日以上の雇用見込みがあること
  3. 学生ではない(※例外として、休学中や夜間・通信制の学生は加入対象)

ただし、日雇い労働者や短期雇用特例被保険者など、一部の労働者は特別な適用ルールがあるため注意が必要です。

参考;厚生労働省HP 「雇用保険の加入手続きはきちんとなされていますか!」 雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか! |厚生労働省

労災保険の加入要件

労災保険は、「すべての労働者を雇用する事業所」 に適用されるため、1人でも従業員を雇用する場合、必ず加入する必要があります。

労災保険の適用対象となる労働者
  • 正社員、契約社員、パート、アルバイト、派遣労働者など適用事業所に雇用されている従業員
  • 事業主や役員は原則として労災保険の対象外ですが、一定の要件を満たし「労災保険の特別加入制度」を利用すれば、事業主自身も労災保険に加入することが可能です。

参考:厚生労働省HP 「特別加入制度のしおり(中小事業主等用)」 特別加入制度のしおり(中小事業主等用)|厚生労働省 

手続きを行う際の注意点

社員が入社する際の手続きでは、期限内に対応することやマイナンバーの適切な取り扱いなどに注意が必要です。

①入社する従業員が加入要件を満たしているか確認する

従業員の労働時間や雇用契約の内容を確認し、社会保険・労働保険の加入要件を満たしているかチェックしましょう。

②定められた期限内に手続きをおこなう

手続きが遅れると、罰則が発生する可能性があるため、余裕をもって対応しましょう。

③外国人労働者の手続きにおける注意点

外国人労働者を雇用する際は、以下の点に注意が必要です。

  • 在留資格と在留期限の確認
    チェックを怠ると不法就労に繋がり、企業側も処罰の対象となる可能性があります。
  • 外国人雇用状況届出書の提出
    日本人と同様に社会保険の手続きを行いますが、ハローワークへ「外国人雇用状況届出書」を提出する義務があります。
  • 氏名の記載方法
    「雇用保険資格取得届」の氏名欄はカタカナで最大20文字までです。在留カードやパスポートの表記を確認し、正確に記入しましょう。なお、名前が収まりきらない場合は、通称や略称の使用可否を事前に確認して対応することが重要です。

参考:厚生労働省HP 「外国人労働者の雇用保険手続きをお忘れなく!」 スライド 1 
参考:厚生労働省HP 「外国人雇用状況の届出について」 「外国人雇用状況の届出」について |厚生労働省 

④マイナンバーの取り扱いについて

社会保険・労働保険の手続きでは、従業員のマイナンバーが必要です。マイナンバーは、個人情報保護法に基づき、適切かつ厳重に管理しなければなりません。社内で適切な管理体制を整えましょう。

社会保険・労働保険の手続きをスムーズに進めるためのポイント

手続きを効率的に進めるために、以下のポイントを押さえておきましょう。

①事前に必要書類を準備する

社員からマイナンバーや年金手帳のコピーなどを早めに回収し、必要書類を揃えておけば、手続きがスムーズに進みます。

②電子申請を活用する

社会保険や雇用保険の手続きは、電子申請が可能です。電子申請を利用すれば、窓口へ行く手間を省き、迅速な対応ができます。

③社労士に相談する

社労士に依頼すれば、手続き漏れやミスを防げるだけでなく、適切なアドバイスを受けることもできます。特に手続きに不安がある場合は、専門家のサポートを活用するのも有効な選択肢です。

まとめ

社員入社時の社会保険・労働保険の手続きは、従業員の権利を守り、企業の責任を果たすために重要です。特に、社会保険(健康保険・厚生年金保険)の手続きを怠ると、従業員が医療費を全額負担するなどの不利益を被る可能性があります。

また、雇用保険の手続きが適切でないと、失業手当や育児休業給付を受けられない場合もあります。

 これらの手続きには厳格な提出期限が定められているため、期限を守って確実に対応することが重要です。特に、従業員の増加に伴い手続きの負担が増えるため、業務の効率化を図る手段として社労士に依頼して社会保険・労働保険手続きをスムーズに進めることを検討するのも有効です。

 この記事が、中小企業の経営者や人事担当者の皆さまにとって、社員入社時の社会保険・労働保険の手続きをスムーズに行うための一助となれば幸いです。

適切な手続きを行い、従業員が安心して働ける環境を整えましょう。

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