令和7年4月から、雇用保険法等の改正に伴い、各種助成金制度の見直しや新設が予定されています。その中で、両立支援等助成金の「介護離職防止支援コース助成金」についても変更が加えられる見込みです。本助成金は、仕事と介護の両立を支援し、労働者の雇用安定を図るために中小企業の事業主を対象として支給されるものです。
両立支援等助成金の「介護離職防止支援コース助成金」には、主に以下の2つの種類があります。
- 介護休業(以下、便宜上「介護休業制度」とします):介護支援プランに基づき、従業員が介護休業を取得した場合や職場復帰した場合に支給される。
- 介護両立支援制度:介護支援プランに基づき、仕事と介護の両立を可能にする制度を従業員が利用した場合に支給される。
今回の主な改正点は以下の2点です。
- 介護休業の加算措置が独立の制度へ
- 介護両立支援制度の支給額見直し
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介護休業の加算措置が独立の制度へ
現行では、「介護休業制度」の加算措置として、被保険者が介護休業を取得した場合に、以下のような支給が行われていました。
- 介護休業期間中に代替要員を新規雇用した場合:20万円
- 介護休業期間中に業務を代替する労働者へ手当を支給した場合:5万円
今回の改正では、この加算措置が独立した制度として整理され、さらに支給対象が拡大されます。 具体的には以下のように変更されます。
- 介護休業期間中の代替要員を新規雇用した場合
- 20万円(介護休業取得期間が連続15日以上の場合は30万円)
- 介護休業期間中に代替労働者に手当を支給した場合
- 5万円(介護休業取得期間が15日以上の場合は10万円)
- 介護のため短時間勤務制度の利用期間中に業務を代替した労働者へ手当を支給した場合
- 3万円

介護両立支援制度の支給額変更
現在、介護両立支援制度に関しては、企業が「所定外労働の制限」「時差出勤」「深夜業の制限」「短時間勤務」「在宅勤務」などの制度を導入し、従業員に20日以上利用させることで30万円が支給されていました。
今回の改正では、支給額が制度導入数と制度の利用日数に応じて変動するようになります。 具体的には、以下のように変更されます。
- 制度を1つ導入し、被保険者が利用した場合
- 20万円
- 制度の利用日数が60日以上の場合
- 30万円
- 制度を2つ以上導入し、被保険者がいずれか1つ以上の制度を利用した場合
- 25万円
- 制度別の利用日数が60日以上のものがある場合
- 40万円

その他の改正点
その他の改正点としては下記のとおりです。
- 現行、「介護休業制度」は被保険者が合計5日以上の介護休業を取得したことが要件とされていましたが、改正後は、連続5日以上の介護休業を取得したことが必要となります。
- 「介護休業制度」の助成金は、休業取得時と職場復帰時に分割して支給されていましたが、改正後は、職場復帰時に一括で支給されることになります。
- 「介護休業制度」「介護両立支援制度」に共通する加算措置として、個別周知と介護休業等の利用申出を円滑にするための雇用環境整備を行った場合に、15万円が支給されていました。改正後は、個別周知の要件は廃止され、雇用環境整備を行った場合に加算されることになります。
まとめ
今回の改正により、介護休業および介護両立支援制度に関する助成金の支給要件がより明確になり、支給額のバリエーションも増えることとなりました。特に、介護休業中の代替要員の新規雇用や、短時間勤務制度の利用者をサポートする企業に対して、より手厚い支援が行われるようになります。
中小企業の事業主にとっては、従業員が介護と仕事を両立しやすい環境を整えることが、今後ますます重要になっていくでしょう。助成金の活用を検討し、介護離職の防止に積極的に取り組むことが求められます。
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