従業員に対する福利厚生の一環として、多くの企業では独自の「特別休暇」を定めています。ただ、特別休暇を定めるときは、基本的にこれを就業規則に規定しなければなりません。
「特別休暇制度を作りたいけど、就業規則になんて記載すればいいかわからない」「すでに就業規則には、特別休暇の規定があるけれど、これが合っているのかどうか確認したい」など、お悩みの方に向けて、特別休暇の規定例や注意点などをご紹介します。
特別休暇の就業規則への規定例
就業規則に特別休暇を設ける場合の規定例です。
第〇条
1 従業員は次の事由に該当する場合、特別休暇を取得することができる。
①結婚休暇(本人が結婚するとき) 5日
②配偶者が出産するとき 2日
③忌引休暇
配偶者・父母(養父母を含む)・子(養子を含む)が死亡したとき 5日
祖父母(養祖父母を含む)・配偶者の父母(養父母を含む)・孫・兄弟姉妹が死亡したとき 2日
④バースデー休暇 1日
⑤〇〇休暇 〇日
2 前項の特別休暇の日数には、第〇条の休日を含まないものとする。
3 従業員が第1項の特別休暇を取得しようとする場合は、原則として事前に所定の様式により申請をし、承認を得なければならない。ただし、やむを得ず事前の申請ができない場合には、事後速やかに申請を行い、承認を得るものとする。
ここで記載した就業規則はあくまで例であり、実際は、その会社の業種や労働者の契約形態、他の規定との整合性などによって自社に最適な規定にすることが重要です。
特別休暇を就業規則に規定する際の注意点
上記規定例の第2項では、特別休暇の日数と所定休日との扱いの違いが記載されています。特別休暇の日数を何日にするかは使用者の自由ですが、土日や祝日などと重なった場合にどうなるかについては、あらかじめ明確にしておくことが労使トラブルを避けるためのポイントです。
また、第3項では従業員が特別休暇を取得する場合は、申請書類の提出と会社の承認が必要である旨が規定されています。このように、特別休暇の申請手続きを明確にしておくことで、従業員が不当に休暇を取得することを防ぐという狙いがあります。申請書類と一緒に、申請事由を証明するための書類の提出を求めるケースも多くあります。
特別休暇は就業規則に規定しなければならない?
労働基準法第89条では、休暇について必ず就業規則に規定しなければならないとされています。ただ、この休暇について、行政の通達によると、労基法や育介法などで付与することが義務付けられている休暇のこととされています。
この点、企業が独自に設ける特別休暇は、労基法や育介法によって付与が義務付けられるものではありません。しかし、労働条件を明確にして、後のトラブルを避けるという点から、特別休暇の制度については就業規則に規定するのが実務上一般的な扱いとなっています。
まとめ
特別休暇は、企業が独自に定める福利厚生の一環として重要ですが、就業規則への明確な規定が求められます。規定例では、休暇の種類や日数、申請手続きが具体的に示されています。
特に、特別休暇の日数と休日との重複や、申請時の書類提出ルールを明確化することで、労使トラブルを防ぐことができます。また、労働基準法上では特別休暇の規定義務はありませんが、実務上、就業規則に記載することで労働条件を明確にし、トラブル回避につながります。