スタートアップ企業における労働基準法の適用に関する新しい解釈について

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2024年6月に閣議決定された「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2024改訂版」を受けて、厚生労働省からスタートアップ企業における労働基準法の適用に関する通達が発出されました。本記事では、この通達について、重要なポイントをご説明いたします。

(参考:厚生労働省「基発0930第3号 令和6年9月30日」)

目次

スタートアップ企業特有の課題と新解釈のポイント

スタートアップ企業では、特に創業初期において経営者と従業員の境界が不明確になりがちです。しかし、企業の創業年数に関係なく、労働基準法の遵守は必要不可欠です。今回の通達では、特にスタートアップ企業における「労働者性」「管理監督者性」の判断基準が明確化されました。

例えば、取締役やCEO、CFOなどの役員であっても、実態として使用従属関係が認められる場合には、労働基準法上の労働者として保護される可能性があります。これは、形式的な役職名ではなく、実際の業務内容や指揮監督関係を総合的に判断する必要があります。

具体的には、仕事の依頼・業務従事の指示等に対する諾否の自由の有無、業務遂行上の指揮監督の有無、勤務場所や勤務時間の拘束性の有無、労務提供の代替性の有無及び報酬の労務対償性等から、総合的に判断されます。

管理監督者の判断基準

次に注目すべきは、管理監督者の判断基準です。スタートアップ企業において、次の立場にある方々は、その立場にふさわしい待遇(基本給、役付手当、賞与等)が確保されている場合、管理監督者として認められる可能性があります。

  • 取締役等役員を兼務する者
  • 経営者に直属する組織の長(部長等)
  • 全社的なプロジェクトの統括者(プロジェクトリーダー)

ただし、重要なのは、形式的な役職名ではなく実態です。例えば、部長職であっても、経営や人事に関する重要な権限がない・出社や退社時刻の裁量がないなど、実際の権限や待遇が管理監督者にふさわしくない場合には、労働時間規制の適用除外とはならない点に注意が必要です。

研究開発業務に関する特例

さらに、本通達では新技術・新商品の研究開発に従事する労働者に関する取扱いも明確化されています。

このような業務に従事する労働者について、一定の要件を満たす場合には、時間外労働の上限規制の適用除外と専門業務型裁量労働制の適用が認められる可能性があります。ただし、これらの特例を適用する場合でも、労働者の健康管理には特段の配慮が必要です。

まとめ

今後のスタートアップ企業の発展のためには、革新的な事業展開と適切な労務管理の両立が不可欠です。本通達を参考に、各企業の実情に応じた適切な労務管理体制の構築を進めていくことが望まれます。

なお、個別の事案については、それぞれの状況に応じて慎重な判断が必要となりますので、専門家への相談をお勧めいたします。


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