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令和7年度、雇用保険法の改正案|雇用保険の適用範囲の拡大など
2月9日、政府は雇用保険の適用拡大などが盛り込まれた「雇用保険法等の一部を改正する法律案」を国会に提出しました。
今回の改正案には、雇用保険の適用拡大の他、多様な働き方を効果的に支える雇用のセーフティネットの構築、「人への投資」の強化等のため、教育訓練やリ・スキリング支援の充実、育児休業給付に係る安定的な財政運営の確保等が盛り込まれています。
具体的な改正点
具体的な改正点は次の通りです。
雇用保険の適用拡大
雇用保険の被保険者要件を見直し、週所定労働時間を「20時間以上」から「10時間以上」に対象を拡大します。この適用拡大により、新たに雇用保険の被保険者及び受給資格者となる労働者については、求職者支援制度の支援対象から除外しないことが明記されています。
教育訓練やリスキリング支援の充実
自己都合で退職した労働者が職業関連の教育訓練を受ける場合、雇用保険の基本手当の受給資格が拡大され、給付制限期間が通常2か月から1か月に短縮されます。また、教育訓練給付金の支給率が最大70%から80%に引き上げられ、賃金増加や資格取得を条件に追加給付が新設されます。
さらに、在職中の被保険者が教育訓練のため休暇を取得した際には、生活支援のための新たな給付金が創設されます。
育児休業給付に係る安定的な財政運営の確保
育児休業給付の国庫負担を本来の1/8に戻し、暫定措置であった1/80の負担率を廃止します。
また、育児休業給付の保険料率を0.4%から0.5%へ引き上げ、保険財政の状況に応じて0.5%から0.4%への引き下げも可能にします。これにより、当面は保険料率を現行の0.4%に据え置きつつ、将来の保険財政悪化に備えて料率を弾力的に調整する体制を整備します。
その他雇用保険制度の見直し
教育訓練支援給付金の給付率を80%から60%に引下げるとともに、その暫定措置を令和8年度末まで継続します。
教育訓練支援給付金は、教育訓練給付制度の中の「専門教育訓練」を受講した際に、失業中であることや、45歳未満であることなど、一定の条件を満たした場合に利用できる給付金制度です。期間限定の暫定的な制度でしたが、これまでも数回の延長が実施されています。
また、介護休業給付等の国庫負担引下げの暫定措置を令和8年末まで継続し、就業促進手当の見直しを行います。
まとめ
改正案は、一部を除いて令和7年4月1日から施行予定となっています。(雇用保険の適用拡大については令和10年10月)
今回の改正は、大企業だけでなく中小企業に対しても大きな影響があります。36協定の締結や就業規則の改定などの社内整備など、早めにとりかかるようにしましょう。