【2022年10月改正】社会保険被保険者資格の勤務期間要件の見直し

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目次

従業員が社会保険に加入しなくてもよいケース

健康保険と厚生年金保険(以下「社会保険」といいます)では、従業員が事業場に使用される形態によって加入をしなくてもよい条件(適用除外要件)が法律で規定されています。

下記の5つのいずれかに該当している場合は適用除外要件を満たします。

  1. 日々雇い入れられる者
    (1ヶ月を超えて引き続き使用されるようになった場合は、その日から被保険者となる)
  2. 2ヶ月以内の期間を定めて使用される者
    (所定の期間を超えて引き続き使用されるようになった場合は、その日から被保険者となる)
  3. 所在地が一定しない事業所に使用される者(例:サーカスの団員)
    (いかなる場合も被保険者とならない)
  4. 季節的業務(4ヶ月以内)に使用される者(例:寒冷地からの出稼ぎ労働者)
    (継続して4ヶ月を超える予定で使用される場合は、当初から被保険者となる)
  5. 臨時的事業の事業所(6ヶ月以内)に使用される者(例:オリンピック本番の業務に従事する者)
    (継続して6ヶ月を超える予定で使用される場合は、当初から被保険者になる)

2022年10月の法改正により社会保険被保険者資格の要件見直し

2022年10月より上記②の「2ヶ月以内の期間を定めて使用される者」の規定が、「2月以内の期間を定めて使用され、当該定めた期間を超えて使用されることが見込まれない者」と改定されます。

これは「2ヶ月以内の期間を定めて使用」されていても、「2ヶ月以内の雇用契約が更新されることが見込まれる場合」は当初から社会保険に加入する必要があります。

“当初から”社会保険に加入するということは、本人が負担していた国年や国保の保険料の還付請求等が発生します。

また、社会保険料も給与から控除する必要がありますので、人事担当者は、自社の就業規則や雇用契約書等を確認し、要件を満たすのか確認しましょう。

契約更新が見込まれる場合とは

「2ヶ月以内の雇用契約が更新されることが見込まれる場合」とはどのようなケースを指すのでしょうか。

これは下記の(1)(2)の場合に「更新されることが見込まれる場合」と判断されます。

  1. 就業規則や雇用契約書その他の書面において、その雇用契約が「更新される」旨又は「更新される場合がある旨」が明示されていること
  2. 同一の事業所において、同様の雇用契約に基づき使用されている者が、契約更新等により最初の雇用契約の期間を超えて使用された実績があること

ただし、(1)(2)に該当する場合であっても、2ヶ月以内で定められた最初の雇用契約の期間を超えて使用しないことについて労使双方が合意しているときは、「2ヶ月以内の雇用契約が更新されることが見込まれる場合」には該当しないとして取り扱われます。

社会保険加入(資格取得時)の注意点のまとめ

社会保険の加入=被保険者資格の取得時期に関して今後は下記の取り扱いになります。

雇用契約の当初から、雇用契約の更新が見込まれる場合

最初の雇用契約の期間が2ヶ月以内であっても、雇用契約の当初から2ヶ月以内の雇用契約が更新されることが見込まれる場合には、最初の雇用契約期間の当初から被保険者資格を取得します。

雇用契約の開始後に、雇用契約の更新見込みが生じた場合

2ヶ月以内の期間を定めて使用された者であって、2ヶ月以内の雇用契約が見込まれなかった者が、契約開始後に契約の更新が見込まれるに至った場合は、その日に被保険者資格を取得します。

なお、契約の更新が見込まれるに至った日は、労使双方の書面による合意があった日になります。

まとめ

近年の年金事務所の事業所調査では、2ヶ月以内の雇用契約が更新されていることが散見される場合は、契約当初から社会保険に加入するように指導されるケースが増えています。

当初から加入することになった従業員への影響は大きくなります。社会保険の加入の可否判断は誤りがないよう実態を十分に確認し手続きを進めるようにしましょう。


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