慶弔見舞金は割増賃金や社会保険料・労働保険料の対象になりますか?

Q:当社では、従業員が結婚や出産、死亡した場合などに、社内規定に基づいて従業員に慶弔見舞金を支給しています。先月、従業員が結婚をしたので慶弔見舞金を支給しましたが、これは割増賃金や社会保険料・労働保険料の対象になるのでしょうか?

A:慶弔見舞金は、賃金には該当しますが、一般的に割増賃金や社会保険料・労働保険料の対象にはなりません

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慶弔見舞金は「賃金」に該当するか?

まず、慶弔見舞金が労働基準法上の「賃金」に該当するかどうかですが、これはその支給方法によって異なります。

労働基準法第11条では、賃金を「労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのもの」と定義しています。行政通達によると、恩恵的に支給される結婚祝金、死亡弔慰金、災害見舞金等は原則として賃金とみなされませんが、労働協約、就業規則、労働契約等であらかじめ支給条件が明確に定められている場合は賃金とみなされます。

したがって、質問のケースでは社内規定に基づいて支給されているため、労働基準法上の「賃金」に該当すると考えられます。

慶弔見舞金が割増賃金の対象になるか?

慶弔見舞金は賃金にあたりますが、給与等と同じ扱いになるわけではありません。

まず、割増賃金の算定基礎についてですが、慶弔見舞金は割増賃金の算定基礎にはなりません。労働基準法12条4項、及び労働基準法施行規則21条では、割増賃金の算定から除外できる賃金として下記の7項目を規定しています。慶弔見舞金は、「支給条件はあらかじめ確定されているが、支給事由の発生が不確定であり、かつ非常にまれに発生するもの」として、「臨時に支払われた賃金」に該当します。そのため、割増賃金の算定基礎から除外されます。

  1. 家族手当
  2. 通勤手当
  3. 別居手当
  4. 子女教育手当
  5. 住宅手当
  6. 臨時に支払われた賃金
  7. 1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金

慶弔見舞金は社会保険料・労働保険料の対象になるか

社会保険料(健康保険・厚生年金保険)の対象についても、基本的に慶弔見舞金は算定基礎となる「報酬」には該当しません。

健康保険法・厚生年金保険法上、報酬とは「労働者が、労働の対償として受ける全てのもの」をいいますが、慶弔見舞金は、恩恵的に支給される場合、労働の対償ではないため報酬に該当しません。また、労働の対償として支給される場合でも、常態として支給するものではないため、同じく報酬には該当しません。

また、労働保険料(労災保険料・雇用保険料)の対象についても、慶弔見舞金は含まれません。行政通達(昭和22.9.13発基17)によると、結婚祝金、死亡弔慰金、災害見舞金等の恩恵的給付は原則として賃金とみなさないとされています。

まとめ

慶弔見舞金は、社内規定に基づいて支給される場合、労働基準法上の「賃金」には該当しますが、その性質上、割増賃金の算定基礎や社会保険料・労働保険料の対象にはなりません。

これらの取り扱いについて正確に理解し、適切に処理することが重要です。ただし、具体的なケースでは、最新の法令や通達を確認し、必要に応じて専門家に相談することをお勧めします。

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