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マイナンバーカードによるオンライン資格確認ができない場合は被保険者資格申立書が必要です
7月10日、厚生労働省から「マイナンバーカードによるオンライン資格確認を行うことができない場合の対応について」という通知が出されました。
これは、オンライン資格確認ができない場合に必要な手続きを整理したものです。
オンライン資格確認ができない場合は被保険者資格申立書が必要
通知によれば、オンライン資格確認ができないケースは次の2つが想定されます。
1つ目は、マイナンバーカードによるオンライン資格確認を行った際に「資格(無効)」、「資格情報なし」と表示されるケース。2つ目は、医療機関等の機器不良等によりその場でマイナンバーカードによるオンライン資格確認を行うことができないケースです。
通知によると、1つ目のケースは、データ登録により解消されるとされています。一方、2つ目のケースでは、マイナポータル画面や健康保険証が提示することで、患者は自己負担分(3割等)で保険診療を受けることができます。しかし、マイナポータル画面や健康保険証の提示ができない場合は、「被保険者資格申立書」の提出が必要となります。
被保険者資格申立書の記載事項
被保険者資格申立書には、患者のマイナンバーカードの券面情報(氏名、生年月日、性別、住所)、連絡先、保険者等に関する事項(加入医療保険種別、保険者等名称、事業所名)、一部負担金の割合等、可能な範囲で記入します。
医療機関は、被保険者資格申立書によって患者が申し立てた自己負担分の支払いを求めることができます。
被保険者資格申立書の提出を省略できるケース
過去に患者がその医療機関で受診歴がある場合、そのときから資格情報が変わっていないことなどを口頭で確認し、被保険者資格申立書の記載事項を確認できたときは、被保険者資格申立書の提出を省略できます。
事業主による周知が必要です
厚労省はデータ登録状況を被保険者にお知らせする取り組みを推進していますが、その仕組みが整備されるまでは、事業主が下記の点について、被保険者に周知して欲しいとしています。
- マイナンバーカードで医療機関を受診する際、事前にマイナンバーを提出していない等の理由によってデータ登録ができていない場合は、「資格(無効)」などと表示される可能性がある。
- データ登録ができている場合であっても、機器不良などによってオンライン資格確認ができない場合がある。
- その場合、被保険者資格申立書を提出することで自己負担分で保険診療を受けることができる。
- データ登録状況をお知らせする仕組みが整備されるまでの間、初めてマイナンバーカードで医療機関を受診する場合などは、念のためマイナポータルで資格情報を確認するか、健康保険証を持参してもらいたい。
オンライン資格確認とは?
オンライン資格確認とは、マイナンバーカードに内蔵されているICチップ等を通じて、インターネット上で保険資格情報を確認するためのシステムを指します。
医療機関や薬局などがこのシステムを利用し、患者の最新の保険資格情報をリアルタイムで確認することが可能となります。
オンライン資格確認の導入には、大きく2つのメリットがあります。
1つ目は、医療事務負担の軽減です。オンライン資格確認を活用することで、患者の最新の保険資格情報がタイムリーに取得できるため、誤った請求や二重請求などのリスクが軽減されます。これにより、医療提供者の事務負担を軽減することが可能になります。
もう一つのメリットとしては、医療提供者が患者の診療情報を確認しやすくなるという点です。オンライン資格確認システムを通じて、医療機関や薬局は、患者の診療履歴や処方箋情報を閲覧することができます。これにより、情報の共有が円滑になり、より質の高い医療サービスを提供することが可能になります。
(厚生労働省「https://www.jvnf.or.jp/newinfo/2023/230710hoken-tsuchi.pdf」)
まとめ
マイナンバーカードで医療機関等を受診する場合、機器不良などによって、オンライン資格確認ができないケースが想定されます。しかしその場合であっても、被保険者資格申立書を提出すれば、自己負担分で保険診療を受けることが可能です。
現在厚労省では、オンライン資格確認システムのデータ登録状況について、お知らせする仕組みの整備をすすめていますが、それまでの間は、事業主に対して一定事項の周知をするよう協力を求めています。