厚労省で勤務間インターバルの導入義務化が検討へ

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厚生労働省は19日、労働基準関係法制研究会の資料を公表し、その中で勤務間インターバル制度の導入義務化を検討する必要性が示されました。これは企業の人事労務管理に大きな影響を与える可能性があります。

参照「厚生労働省HP:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_42461.html

目次

勤務間インターバル制度とは

「勤務間インターバル」制度は、1日の勤務終了後、翌日の出社までの間に、一定時間以上の休息時間(インターバル)を設けることで、働く人の生活時間や睡眠時間を確保するものです。

現在、この制度の導入は企業の努力義務とされていますが(労働時間等設定改善法第2条第1項)、今後義務化されると多くの企業は対応を迫られることになります。

なお、令和3年7月30日に閣議決定された「過労死等の防止のための対策に関する大綱」では、勤務間インターバル制度について下記の数値目標が掲げられています。

  • 令和7年(2025年)までに、勤務間インターバル制度を知らなかった企業割合を5%未満とする。
  • 令和7年(2025年)年までに、勤務間インターバル制度を導入している企業割合を15%以上とする。

導入義務化の背景

厚生労働省の資料によると、令和5年1月時点での勤務間インターバル制度の導入企業割合は6.0%にとどまっています。この低い導入率を踏まえ、労働者の健康確保とワークライフバランスの向上を目指して、導入義務化の検討が進められています。

同資料では、導入義務化にあたって、インターバル時間確保のため始業時間が後ろ倒しされることによる従業員の生活サイクルへの影響や 、突発的業務への対応等への影響等にも配慮する必要があるとしています。

検討される具体的な内容

  1. インターバル時間の設定:具体的な時間数や、その決定方法
  2. 適用除外の範囲:特定の職種や業務に対する例外規定
  3. 罰則規定:違反した場合の罰則の有無や内容
  4. 対象者の範囲:全労働者を対象とするか、長時間労働者に限定するか

これらの点について、今後詳細な検討が行われると予想されます。

諸外国の状況

EU諸国では既に勤務間インターバル制度が導入されています。例えば、イギリスでは、24 時間当たり連続 11 時間以上 、7日間当たり連続 24 時間以上の休息を与えることが使用者に義務付けられています。( 18 歳未満の労働者については連続最低 12 時間)

日本でも、こうした海外の事例を参考にしながら、制度設計が進められる可能性があります。

労働時間規制の見直しも視野に

勤務間インターバル制度の議論に加え、現行の労働時間規制についても見直しの検討が行われています。特に注目されているのは、時間外労働の上限規制です。

本資料では、時間外・休日労働の上限規制について、導入後の労働時間の状況等をどのように評価するか、検討すべきとしています。「時間外労働の上限規制等に関する労使合意」(平成29年3月)では、長期的には月45時間、年360時間という原則的上限に近づける努力が重要であるとされています。

今後は、これらの上限規制について、労働者の健康確保や生産性向上、さらにはワークライフバランスの実現という観点から、労働時間管理の在り方について継続的な議論が行われる可能性があります。

企業に求められる対応

こうした労働時間規制に関する動向は、企業の労務管理に大きな影響を与える可能性があります。企業としては、今後の法改正や制度変更に備えて、以下の点について対応を検討しておくことが望ましいといえます。

  1. 勤務間インターバル制度の導入準備:義務化に備え、自社の業務実態に合わせた制度設計を検討する
  2. 労働時間管理の厳格化:より厳しい労働時間規制に対応できるよう、労働時間の把握と管理を徹底する
  3. 業務効率化の推進:限られた労働時間内で成果を上げられるよう、業務プロセスの見直しや技術導入を進める
  4. 多様な働き方の導入:テレワークやフレックスタイム制など、柔軟な勤務形態の導入を検討する

まとめ

勤務間インターバル制度の導入義務化や労働時間規制の見直しは、働き方改革の一環として進められています。これらの変更は、労働者の健康確保とワークライフバランスの向上を目指すものですが、同時に企業にとっては大きな課題となる可能性があります。

今後の法改正の動向を注視しつつ、自社の労務管理体制を見直し、新しい制度に対応できる準備を進めることが重要です。社会保険労務士や専門家のアドバイスを受けながら、計画的に対応を進めていくことをお勧めします。


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