【令和6年度最新】厚生労働省の「人材開発支援助成金」を分かりやすく解説

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日本社会の少子高齢化が進む中、企業が直面する最大の課題の一つは、労働力の確保とその生産性向上です。特に、慢性的な人手不足を背景とした人材採用難から、企業は既存の従業員のスキルアップが必要不可欠となっています。生産性を上げるためには、従業員一人ひとりの能力向上が求められる一方で、人材育成に課題を抱えている企業も少なくありません。

そこで、厚生労働省が提供する「人材開発支援助成金」を活用することが効果的です。この助成金は、従業員の訓練や研修を通じてスキルアップを図る企業を支援する制度であり、人材育成の効率化を目指して策定されました。本記事では、「人材開発支援助成金」の制度概要や具体的な申請手続きについて、わかりやすく解説します。

目次

「人材開発支援助成金」の概要と目的

人材開発支援助成金は、厚労省が提供する助成金制度で、企業が従業員に対して職務に関連した専門知識や技能を習得させるための職業訓練を計画的に実施する際に、訓練にかかる経費や訓練期間中の賃金の一部を助成するものです。

この助成金の目的は、従業員の専門的な知識や技能を向上させることで、企業全体の生産性を向上させることにあります。これにより、企業は従業員のキャリア形成を促進し、労働市場における競争力を高めることが期待されています。少子高齢化に伴い労働力人口が減少する中で、企業が持続的に成長するためには、従業員一人ひとりの能力向上が欠かせません。そのための支援策として、「人材開発支援助成金」は非常に有効な手段となります。

「人材開発支援助成金」には7つのコースがあります

「人材開発支援助成金」には、以下の7つのコースが用意されています。各コースについて解説していきます。

人材育成支援コース

本コースは、企業が従業員に対して職務に関連する知識やスキルを習得させるための訓練を実施した際に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成するものです。具体的には以下3つの訓練が対象となります。

  1. 人材育成訓練:職務に関連する知識やスキルを習得させるための10時間以上の訓練
    人材育成訓練については、OFF-JTにより実施され、実訓練時間が10時間以上であることが基本要件となります。
  2. 認定実習併用職業訓練:厚生労働大臣の認定を受けた実習併用職業訓練
    認定実習併用職業訓練については、事前に厚生労働大臣の認定を受けた、OJTとOFF-JTを組み合わせた訓練である実習併用職業訓練(認定実習併用職業訓練)を実施し、職業訓練終了後にジョブ・カードによる職業能力の評価を実施することが基本要件です。その他の要件には、訓練対象者が15歳以上45歳未満であること、訓練実施期間が6ヶ月以上2年以下であること、総訓練時間数が年間850時間以上であること、総訓練時間数のうちOJTの割合が2割以上8割以下であること等が含まれます。
  3. 有期実習型訓練:非正規雇用労働者を正社員化するための訓練
    有期実習型訓練については、正社員経験が少ない有期契約労働者等を対象とし、正規雇用労働者等への転換を目指すOFF-JTと、指導者の指導の下で行うOJTを効果的に組み合わせて実施する訓練でなければなりません。組み合わせる中でも、OFF-JTの実訓練時間が10時間以上であること、総訓練時間のうちOJTの割合が1割以上9割以下であること、訓練実施期間が2ヶ月以上で総訓練時間が6ヶ月当たり425時間以上であることが要件となります。また、本訓練においても、職業訓練終了後にジョブ・カードによる職業能力の評価を実施することが基本要件に含まれます。

『人材育成支援コース』の助成額

人材育成支援コースの経費助成率は、訓練対象となった従業員の雇用形態により異なります。

また、企業における付加価値を労働者に賃上げとして還元することを目的とした『加算措置』により、助成額が増加します。『加算措置』とは、訓練後に全ての対象労働者に対して「賃金要件」(毎月決まって支払われる賃金が5%以上増加した場合)または「資格等手当要件」(訓練修了後に資格手当を支払い、賃金が3%以上増加した場合)のいずれかを満たしている場合に、助成額が加算される制度です。

※〈 〉内は中小企業以外の場合

人材育成支援コースには、1人当たりの経費助成限度額や1人1訓練あたりの賃金助成限度額、支給に関する制限等も細かく設定されています。

その他にも、各訓練において細かい要件や対象労働者、対象となる訓練等が定められています。『人材育成支援コース』を検討する場合には、厚労省のHPやパンフレットで詳細を確認したうえで検討することをお勧めします。

参照:厚生労働省HP 人材育成支援コース 最新版パンフレット 001238063.pdf (mhlw.go.jp)

教育訓練休暇等付与コース

本コースは、3年間に5日以上取得が可能な有給の教育訓練休暇を導入し、従業員がその休暇を取得して訓練を受けた場合に助成される制度です。

基本要件は以下のとおりです。

  • 規定への明記:有給の教育訓練休暇について、就業規則または労働協約に制度の施行日を明記すること。またその休暇は、1日単位で取得可能であること。
  • 従業員への周知:制度を規定した就業規則または労働協約を、制度施行日までに全従業員に周知すること。
  • 自主的な職業能力開発:従業員が業務命令ではなく、自発的職業能力開発を目的として、教育訓練、各種検定、キャリアコンサルティングのいずれかを受講できること。
  • 年間の休暇付与:教育訓練休暇制度導入・適用計画期間(3年間)の初日から1年ごとの期間内に、労働者1人以上に当該休暇を付与すること。なお、各年において休暇を取得した従業員は同一人物であっても構いません。
  • 最低適用被保険者数:制度導入・適用計画期間(3年間)のうちに、企業全体で雇用する被保険者数に応じて、最低適用被保険者数の従業員にそれぞれ5日以上の休暇を付与すること。(企業全体で雇用する被保険者数が100人以上の場合は5人、100人未満の場合は1人。)

『教育訓練休暇等付与コース』の助成額

教育訓練休暇等付与コースの助成額は、新たに制度を導入する場合30万円です。事業主(企業)単位で1回限りの支給となります。賃金要件または資格等手当要件を満たし、『加算措置』が適用となった場合は、36万円となり、6万円が増額されます。

厚労省のHP内の教育訓練休暇等付与コースのパンフレットには、教育訓練休暇等付与コースについて就業規則等の規定に記載する際の規定例等も掲載されています。

その他にも、助成に係る留意事項や対象となる訓練等が定められています。『教育訓練休暇等付与コース』を検討する場合には、厚労省のHPやパンフレットで詳細を確認したうえで検討することをお勧めします。参照:厚生労働省HP 教育訓練休暇等付与コース 最新版パンフレット 001238087.pdf (mhlw.go.jp)

人への投資促進コース

本コースは、会社全体の生産性を向上させるために、サブスクリプションサービスによる定額制訓練や高度なデジタル人材を育成する訓練、従業員が長期休暇を取得したり業務時間外や休日の隙間時間等を利用したりして自発的に行う訓練等を実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等が助成される制度です。

本コースには訓練内容や目的に応じた5つの訓練があり、それぞれ助成内容が異なります。

  1. 定額制訓練(サブスクリプション)
  2. 高度デジタル人材訓練/成長分野等人材訓練
  3. 情報技術分野認定実習併用職業訓練
  4. 自発的職業能力開発訓練
  5. 長期教育訓練休暇等制度

それぞれの訓練の概要については、以下のとおりです。

定額制訓練(サブスクリプション)

従業員の多様な訓練の選択・実施を可能とする「定額制サービス」(サブスクリプション型の研修サービス)が助成対象となります。「定額制サービス」とは、1訓練当たりの対象経費が明確でなく、同額で複数の訓練を受けられるeラーニングおよび同時双方向型の通信訓練で実施されるサービスのことを指します。

業務上義務付けられ、労働時間中に実施されるOFF-JT訓練であることが基本の訓練要件となります。職務に関連した専門的な知識および技能の習得を目的とした訓練(職務関連教育訓練)でなければならず、各支給対象従業員の受講時間数を合計した時間数が、支給申請時において10時間以上である必要があります。その他の細かい要件や定額制サービスの取扱いについては、厚労省のHPやパンフレットで詳細を確認しておくことが重要です。

高度デジタル人材訓練/成長分野等人材訓練

DX推進や成長分野等でのイノベーションを推進する高度デジタル人材の育成のための訓練や、海外を含む大学院での訓練が助成対象となります。

訓練は、職務関連教育訓練でなければならず、実訓練時間数が10時間以上であること、またOFF-JT訓練であることが基本の訓練要件です。さらに、高度デジタル人材訓練と成長分野等人材訓練では、それぞれの訓練要件が以下のように異なります。

高度デジタル人材訓練の訓練要件

  • 高度情報通信技術資格(ITスキル標準(ITSS)・DX推進スキル標準(DSS-P)レベル4または3)の取得を目標とする課程であること
  • 第四次産業革命スキル習得講座(Reスキル講座)であること
  • マナビDX(デラックス)の掲載講座のうち、講座レベルが、「ITスキル標準(ITSS)」、「ITSS+」または「DX推進スキル標準」のレベル4または3に区分される講座であること
  • 大学(大学院を除く)の正規課程、科目履修制度、履修証明制度による訓練であること

成長分野等人材訓練の訓練要件

  • 大学院の正規課程、科目等履修制度、履修証明制度による訓練であること
  • 海外の大学院により実施される訓練であること

その他の細かい要件や資格・試験の取扱いについては、厚労省のHPやパンフレットで詳細を確認することが重要です。

情報技術分野認定実習併用職業訓練

未経験者をシステムエンジニア等のIT分野の即戦力に育てるためのOFF-JTとOJTを組み合わせた訓練が助成対象となります。

厚生労働大臣の認定を受けた実習併用職業訓練を、1年当たり850時間以上受けることや訓練実施期間を6ヶ月以上2年以下とすること、総訓練時間数のうちOJTの割合が2割以上8割以下であること等が訓練要件に含まれます。その他にも、情報処理・通信技術者の職種に関連する業務に必要となる訓練であること等細かい要件が定められています。その他の細かい要件については、厚労省のHPやパンフレットで詳細を確認しておくことが重要です。

自発的職業能力開発訓練

業務時間外や休日の隙間時間等をつかって従業員が自発的にスキルアップを行う場合、それを支援する事業主に助成を行う制度です。

自発的職業能力開発経費負担制度を利用し、従業員が自発的職業能力開発を行うために実施する訓練で、OFF-JTにより実施され、実訓練時間が10時間以上であることが基本要件となります。

また、自発的職業能力開発経費負担制度の要件として、以下が含まれます。

  • 事業主が自発的職業能力開発経費の2分の1以上を負担すること
  • 制度を規定した就業規則または労働協約を、制度施行日までに従業員に周知すること

その他の細かい要件については、厚労省のHPやパンフレットで詳細を確認しておくことが重要です。

長期教育訓練休暇等制度

外国人客の増加に伴い、語学力向上のために海外留学を希望する従業員のために、長期休暇を取得できる制度を導入したいという事業主が、この「長期教育訓練休暇制度」や「教育訓練短時間勤務等制度」を導入し、従業員の自発的な職業能力開発を促進した場合に助成を受けることができる制度です。どちらの制度も、制度を規定した就業規則または労働協約を、制度施行日までに従業員に周知することが基本要件となります。

「長期教育訓練休暇制度」と「教育訓練短時間勤務等制度」についての詳細は、以下のとおりです。

長期教育訓練休暇制度とは?

教育訓練を受けるために、年次有給休暇とは別に有給または無給の長期にわたる休暇を従業員に与え、自発的な職業能力開発を促進する制度です。

以下の要件が必須となります。

  • 規定への明記:所定労働日において、30日以上の長期教育訓練休暇(1日単位の休暇を10日以上連続で1回以上取得し、合計30日以上取得すること)が可能な制度について、就業規則または労働協約に制度の施行日を明記すること。またその休暇は、1日単位で取得可能であること。なお2024年4月1日より、日単位に加え、時間単位の休暇取得も助成対象となっています。
  • 自主的な職業能力開発:従業員が業務命令ではなく、自発的職業能力開発を目的として受講できること。
教育訓練短時間勤務等制度とは?

教育訓練を受けるために、所定労働時間を短縮または免除し、自発的な職業能力開発を促進する制度です。

以下の要件が必須となります。

  • 規定への明記:所定労働日において、30回以上の所定労働時間の短縮および所定外労働時間の免除のいずれも利用することが可能な制度について、就業規則または労働協約に制度の施行日を明記すること。なお所定労働時間の短縮は、1日につき1時間以上所定労働時間未満の範囲で、1時間単位で措置できるものとすること。
  • 自主的な職業能力開発:従業員が業務命令ではなく、自発的職業能力開発を目的として受講できること。

『人への投資促進コース』の助成額

人への投資促進コースの助成額は、より使いやすくするために2024年4月1日に一部改正が行われました。

※〈 〉内は中小企業以外の場合

厚労省のHPには、人への投資促進コースの活用例等も掲載されていますので、自社で本コースを活用することを検討する際には、ぜひ参考になさってください。

人への投資促進コースは、各訓練において細かい要件や対象労働者、1事業所1年度当たりの経費助成限度額や1人あたりの助成限度額等が細かく設定されています。『人への投資促進コース』を検討する場合には、厚労省のHPやパンフレットで詳細を確認したうえで検討することをお勧めします。また、2024年4月より、対象訓練の内容拡充や添付書類の簡素化等の見直しが行われました。従来より内容が変更になっていますので、詳細を確認し、効果的に活用してください。

参照:厚生労働省HP 人への投資促進コース 最新版パンフレット 001238174.pdf (mhlw.go.jp)
参照:厚生労働省HP 人への投資促進コース リーフレット 001238108.pdf (mhlw.go.jp)

事業展開等リスキリング支援コース

本コースは、2022年から2026年度までの期間限定の助成金です。企業の持続的発展のために新しい事業を立ち上げたり、デジタル技術を導入したりする等の事業展開の際に、従業員に必要な新しい知識や技能を習得させる訓練を実施した場合に助成を行う制度です。具体的には、計画に基づいて訓練を実施し、その訓練経費や訓練期間中の賃金の一部が助成されます。

訓練は、事業内訓練または 事業外訓練のいずれかにより実施されるOFF-JT訓練であり、実訓練時間数が10時間以上であることが基本の訓練要件です。また、次の①または②のいずれかに当てはまる訓練である必要があります。

  1. 事業展開にあたって新たな分野で必要となる専門知識や技能を習得するための訓練。ただし、訓練開始日から起算して、3年以内に実施される予定のもの、または6ヶ月以内に実施した事業展開に限る。
  2. 事業展開は行わないものの、企業内のデジタル・デジタルトランスフォーメーション(DX)化やグリーン・カーボンニュートラル化を推進する際に、関連する業務に従事する上で必要な専門知識や技能を習得するための訓練。

“事業展開”、“DX化”、“グリーン・カーボンニュートラル化”について、例をご紹介します。

  • 事業展開:新たな製品の製造や新サービスの提供を開始することをさします。例えば、日本料理店が新たにカフェを開業する場合等が事業展開に当たります。
  • DX化:デジタル技術を活用して業務の効率化を図ることや、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、業務等を変革することをさします。例えば、RPAやITツールを用いて社内業務の自動化や手続きの簡略化を図ること等です。
  • “グリーン・カーボンニュートラル化”:徹底した省エネや再生可能エネルギーの活用等により、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすることをさします。例えば、風力発電機や太陽光パネルを導入することです。

『事業展開等リスキリング支援コース』の助成額

事業展開等リスキリング支援コースの助成率は、講師への謝金や受講料・教科書代等、実費相当額の75%です(中小企業以外の場合は60%)。また、1人1時間当たりの賃金助成額は、960円です(中小企業以外の場合は480円)。

このコースには、1人1訓練あたりの経費助成限度額や支給に関する制限等が細かく設定されています。また、2024年4月より添付書類の簡素化等の見直しが行われました。事業展開等リスキリング支援コースを検討する場合には、厚労省のHPやリーフレットで詳細を確認したうえで検討することをお勧めします。

参照:厚生労働省HP 事業展開等リスキリング支援コース リーフレット  001098536.pdf (mhlw.go.jp)

建設労働者認定訓練コース

建設労働者認定訓練コースは、建設業に従事する労働者の技能向上を目的とした制度で、職業能力開発促進法に定められる認定訓練を労働者に受講させる際にかかる経費と賃金を助成するものです。このコースには、経費助成と賃金助成があります。

経費助成では、都道府県から認定訓練助成事業費補助金(運営費)または広域団体認定訓練助成金の交付を受けて認定訓練を行った場合に、助成を受けることができます。

賃金助成では、雇用する建設労働者に有給で認定訓練を受講させた場合に助成を受けることができます。

『建設労働者認定訓練コース』の助成額

経費助成の助成額は、助成対象経費とされた額の1/6です。

賃金助成の助成額は、認定訓練を受講した建設労働者1人あたり1日3,800円です。なお、加算措置適応の場合は、さらに1,000円が加算されます。

建設労働者認定訓練コースは、助成の対象となる訓練課程・訓練科等が細かく設定されています。本コースを検討する場合には、厚労省のHPやパンフレットで詳細を確認したうえで検討することをお勧めします。

参照:厚生労働省HP 建設労働者認定訓練コース 『建設事業主等に対する助成金 パンフレット』  001241209z.pdf (mhlw.go.jp)

建設労働者技能実習コース

建設労働者技能実習コースは、建設業に従事する労働者の技能向上を支援するための制度です。具体的には、雇用する建設労働者に技能向上のための実習を有給で受講させた場合、その訓練経費や訓練期間中の賃金の一部が助成されます。この助成金制度は、若年者の育成と熟練技能の維持・向上を図ることを目的としています。

『建設労働者技能実習コース』の助成額

※≪≫:建設キャリアアップシステム技能者情報登録者である場合

建設労働者技能実習コースは、助成の対象となる技能実習や算定の対象となる建設労働者が細かく設定されています。本コースを検討する場合には、厚労省のHPやパンフレットで詳細を確認したうえで検討することをお勧めします。

参照:厚生労働省HP 建設労働者技能実習コース 『建設事業主等に対する助成金 パンフレット』  001241209z.pdf (mhlw.go.jp)

障害者職業能力開発コース

障害者職業能力開発コースは、障害者が職業に必要な能力を向上させるための制度です。この制度は、障害者に継続的な教育訓練を提供する施設を設置・運営する事業主または事業主団体に、その運営費用の一部を助成することで、障害者の雇用促進と雇用の継続を支援することを目的としています。

しかし、このコースは2023年度で廃止されました。2024年4月からは、障害者雇用納付金制度による「障害者能力開発助成金」へと移行しています。この助成金制度は、以前の「人材開発支援助成金(障害者職業能力開発コース)」と基本的に同じ助成対象、助成額、助成率を維持しており、支給業務は独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が担当します。詳細については、厚労省のホームページや関連のパンフレットを参照することをお勧めします。

参照:厚生労働省HP 障害者職業能力開発コース 人材開発支援助成金(障害者職業能力開発コース) |厚生労働省 (mhlw.go.jp)

人材開発支援助成金 申請および受給のための注意点

人材開発支援助成金は、申請から受給までに時間がかかる助成金です。また、支給申請手続きが煩雑であり、研修終了後に申請し、支給審査を受けてから助成金交付の有無が決定されます。不支給となるリスクもあることを覚えておきましょう。助成金を受給するまでには、一時的に会社が費用を負担しなければならないため、人材開発支援助成金の活用を考える場合には、受給までの期間の予算組や資金繰りを考慮することが大切です。

また、人材開発支援助成金を利用しやすくするために、2024年4月1日より制度の見直しが行われ、制度の拡充や届出時の添付書類の簡素化が実施されました。昨年度までの制度を利用していた事業主や会社の担当者は、最新情報を確認し、誤りのないように注意しましょう。

まとめ

 人材開発支援助成金は、企業が従業員のスキルアップを図るための研修にかかる経費や研修期間中の賃金の一部を助成する制度です。この制度を活用することで、企業は経費や賃金の負担を軽減しながら、効果的に人材育成を進めることができ、結果的に企業全体の生産性を向上させることが可能となります。

人材開発支援助成金は、さまざまな教育・訓練が助成対象となっており、企業は自社のニーズに合わせた研修を選ぶことができます。高度デジタル人材の育成など、グローバル基準の人材育成に向けた投資を積極的に行う動きも進んでおり、こうした助成制度を活用することは、人材確保や人材不足の解消にとって重要です。

ただし、助成金の申請にはいくつかの注意点があります。申請から受給までには時間がかかり、手続きが煩雑であるため、事前に十分な準備が必要です。また、助成金を受給するまでの間は一時的に会社が費用を負担する必要があるため、資金繰りも考慮することが重要です。さらに、制度の改正や見直しが行われることがあるため、厚労省のホームページなどで最新の情報を確認することが不可欠です。

そのため、助成金を効果的に活用するためには、専門知識を持つ社労士のサポートを受けることが推奨されます。信頼できる社労士に相談し、申請代行を依頼することで、担当者の負担を軽減し、助成金の最大限の活用が可能となります。助成金制度を活用し、企業の成長と従業員のスキルアップを実現しましょう。


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