担当者向け「育児休業給付金支給申請書」の書き方

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育休中の従業員の経済的な支援となるのが育児休業給付金です。しかし、その申請手続きは複雑で、人事担当者にとっては負担となることが多く、頭を悩ませる場面も少なくありません。さらに、近年の法改正や制度変更に対応するためには、正確な書類作成が求められ、少しのミスが支給の遅れや不支給につながるリスクとなり得ます。こうした問題が発生すると、従業員の信頼を損ね、企業の評価にも影響を与えかねません。

そこで今回は、育児休業給付金支給申請書の書き方から提出方法まで、具体的な手順と注意点をステップごとに解説します。本記事を読むことで、手続きがスムーズに進み、従業員に安心感を提供できるでしょう。

目次

育児休業給付金とは?

育児休業給付金は、従業員が育休を取得した際に、生活の支援として雇用保険から支給される給付金のことです。この制度は、育休を取得する従業員が、休業中も一定の収入を得ることを目的として設けられており、育休中の従業員を支える重要な役割を果たしています。

支給額は、休業開始から180日目までは賃金の67%、それ以降は50%であり、最大で子どもが1歳になるまで給付が継続されます。また、特定の条件を満たすことで、最長2歳まで延長される場合もあります。

人事担当者が申請書作成を理解する理由

人事担当者は、従業員が育休を安心して取得できるよう、正確かつ迅速な申請手続きをおこなうことが求められます。育児休業給付金の申請が遅れたり、記入ミスが生じたりすると、従業員の生活に直接影響を与えるだけでなく、企業全体の信頼にも関わる重要な問題となります。従業員が安心して育児に専念できる環境を整えることは、企業としての社会的責任を果たすことでもあります。

そのため、人事担当者はこの制度を深く理解し、最新の法改正や運用に関する情報を把握しておくことが大切です。

育児休業給付金の対象者

育児休業給付金の対象となるのは、1歳未満の子を養育している、雇用保険に加入している従業員です。具体的には、以下の条件を満たすことで支給の対象となります。

  • 育休開始前の2年間に11日以上働いた月が12カ月以上あること。または、労働時間数が80時間以上の完全月が12カ月以上あること。
  • 休業中に賃金が支払われていないこと。また育休中に働いた場合、就業日数が10日以内であり、賃金が休業前の80%未満であること。

これらの条件を満たしていれば、フルタイム・パートタイムなどの雇用形態を問わず、正社員だけでなく非正規雇用の従業員も育児休業給付金の支給対象となります。

育児休業給付金支給申請書の書き方をステップごとに解説

育児休業給付金支給申請書を正確に記入することは、スムーズな支給を受けるために非常に重要です。ここでは、申請書の主な項目を解説し、各項目にどのような情報を記入すればよいかを詳しく説明します。

(参考:育児休業給付受給資格確認票・( 初回 )育児休業給付金支給申請書の記入例 001339881.pdf (mhlw.go.jp)

  • 1. 被保険者番号/3. 被保険者氏名
    従業員の被保険者番号および氏名を記入します。雇用保険被保険者証などに記載されている情報と一致しているか確認しましょう。
  • 2. 資格取得年月日
    雇用保険の加入資格を得た日を記入します。通常、従業員の入社日か雇用条件の変更日が該当します。元号は、「昭和:3」「平成:4」「令和:5」と記入します。
  • 4.事業所番号
    事業所の事業所番号を記入します。
  • 5.育児休業開始年月日
    従業員が育休を開始した日を記入します。出産した日ではなく、育児のために会社を休業し始めた日を正確に記入しましょう。この日付が誤っていると、申請が認められない可能性がありますので、特に注意が必要です。
  • 6.出産年月日/7. 出産予定日
    育休の対象となる養育している子の出産年月日、出産予定日を記入します。
  • 9.個人番号/10. 11.「被保険者の住所」/12.「被保険者の電話番号」
    従業員の個人番号、住所、電話番号をそれぞれ記入します。
  • 13.支給単位期間その1
    申請用紙1枚で2カ月分の申請が可能です。その1には最初の1カ月目の年月日を記入します。
  • 17.支給単位期間その2
    2カ月目の年月日を記入します。
  • 21.最終支給単位期間
    育休が終了する期間がある場合には記入が必要となります。
  • 14.18.22.「就業日数」/15.19.23.「就業時間」 
    それぞれの支給単位期間中に、就業した日があった場合はその日数を記入し、就業した日数が10日を超える場合には就業した時間数を記入します。
  • 16.20.24.「支払われた賃金額」
    支給単位期間中に、支払日のあった賃金総額を記入します。
  • 25. 職場復帰年月日
    支給申請時点で、「育児休業給付金支給決定通知書」の「支給期間末日」より前に従業員が職場復帰した場合、その職場復帰日を記入します。
  • 26.支給対象となる期間の延長事由-期間
    育休の対象となる養育している子が1歳の誕生日を迎えるとき、保育園に入園できない等の理由で育休を延長する際、延長事由と期間の記入が必要です。
  • 27.配偶者育休取得/28.配偶者の被保険者番号
    パパママ育休プラス制度を利用する場合、該当項目を記入します。
  • 事業所証明欄
    「事業所名(所在地・電話番号)、事業主名」の欄は、内容に誤りがないことを事業主が証明する欄です。
    「申請者氏名」の欄には、被保険者本人=従業員が氏名を記入する必要があります。ただし、従業員から申請に係る同意書(「記載内容に関する確認書・申請等に関する同意書」)が提出された場合、被保険者の記名を省略できます。この場合、申請者氏名欄には「申請について同意済み」と記入します。
  • 振込先金融機関
    被保険者本人名義の金融機関口座を記入します。

申請手続きの流れと注意点

申請手続きが完了した後は、その後の流れを理解することが重要です。ここでは、提出方法から申請後の流れまでを解説します。

  • 提出方法
    育児休業給付金の申請書は、事業主がハローワークまたは電子申請で提出します。なお、電子申請の場合には、事前に電子申請システムを利用する準備が必要です。申請は原則2カ月に1回ですが、従業員が希望すれば1カ月ごとの申請も可能です。
    育児休業給付金の申請は、原則的には事業主が行いますが、支給対象者である従業員が希望した場合、従業員が手続きをすることも可能です。
  • 申請後の流れ
    申請が受理されると、審査がおこなわれ、審査に問題が無ければ、指定された口座に給付金が通常約1〜2カ月で支給されます。ただし、申請に不備があった場合は、その確認や追加書類の提出が求められ、支給が遅れることがあります。

提出書類と添付書類について

育児休業給付金支給申請書を提出する際には、いくつかの添付書類が必要です。これらの書類は、申請が正確に行われるために重要な役割を果たしますので、必ず漏れなく用意してください。なお、休業中の従業員に準備してもらう書類もありますので、前もって依頼しておく等の準備が必要です。

まず、初回の申請時には、以下の書類の提出が求められます。

  • 雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書
  • 育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書
  • 賃金台帳、出勤簿など、育児休業を開始した日、終了した日、賃金の額と支払状況を証明する書類
  • 母子健康手帳などの育児の事実、出産予定日及び出生日を確認することができるものの写し

2回目以降の手続きについて

初回の申請が完了すると、次回以降の申請手続きは比較的シンプルになります。2回目以降の申請では、以下の書類の提出が必要です。

  • 育児休業給付金支給申請書
  • 賃金台帳、出勤簿などの賃金額や支払状況を証明する書類

重要な注意点として、提出期限を守ることが非常に大切です。ハローワークが交付する「育児休業給付次回支給申請日指定通知書」に印字されている支給申請期間を守って早めに手続きを進めましょう。

不明点や不備があった場合は、速やかにハローワークや社会保険労務士に確認し、対応することをお勧めします。

(参考:厚生労働省HP 育児休業給付について 育児休業給付の内容と支給申請手続 001276629.pdf (mhlw.go.jp)

まとめ

育児休業給付金は、育児中の従業員を経済的に支援する重要な制度です。本記事では、育児休業給付金の申請手続きに関して、書き方から申請手続きの流れ、注意点までを解説してきました。本記事で説明した各ステップを丁寧に確認することで、スムーズな給付金の受給が可能になります。特に、提出期限を守ること書類の不備がないことが重要です。必要に応じて社会保険労務士に相談するなどして、確実に手続きを進めましょう。

正しい手続きを通じて、育休中の従業員が円滑に受給できるようサポートしていきましょう。


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