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人事プロフェッショナルの福利厚生ガイド⑫「福利厚生の従業員ニーズ」
「人事プロフェッショナルの福利厚生ガイド」の第12回です。
福利厚生を、人材戦略を支える施策と位置づけ、経営の視点から福利厚生を見直し活用しようという連載です。
私は、福利厚生専門誌「旬刊福利厚生」を発行する出版社、
株式会社労務研究所の代表取締役、可児俊信です。
私がお相手をつとめますサトです。
今日もよろしくお願いいたします。
前回は従業員エンゲージメントを高めて、会社への信頼、会社との繋がりの実感と貢献意欲につなげて、定着を促そう、というお話でしたよね。
そうです。
従業員が会社との信頼や繋がりの実感を持つのは、「会社が自分を見てくれて、自分を支援してくれる」と体感する瞬間です。
福利厚生制度で、従業員が欲していること、支援して欲しいことを提供するのです。
それには、福利厚生に対する従業員ニーズを上手く吸い上げ、取り込むことが重要です。
福利厚生で従業員エンゲージメントを高める
今回はニーズを吸い上げる事例を紹介します。
福利厚生の充実に意欲のある法人を表彰・認証するハタラクエール(福利厚生表彰・認証制度)への応募用紙に福利厚生ニーズをどのように吸い上げているかを記入してもらっています。その中からいくつか紹介します。
ニーズを吸い上げる手段としては、「セミナー、会議内で情報収集して把握」という回答と、「従業員アンケートを定期的に実施」が多いです。
そうですね。ハタラクエールに応募するくらいですから、熱心にニーズの吸い上げを行っているのでしょう。
会議等でニーズを吸い上げ
まずは従業員との会議や集まりで直接、ニーズを拾っていますね。自由記入の回答を実際に拾ってみましょう。
- 「社内制度を考える会」という委員会があり、従業員がボトムアップで福利厚生について考え、経営陣に意見をあげることができる
- 福利厚生を含む人事制度改正時には全従業員対象としたパブコメを実施する
上記の企業では、定期的にニーズを吸い上げる機会を設けています。さらには福利厚生制度を見直すときは、制度改正前に従業員から改善要望を聞いてから見直しを実行するようです。
次に、会議ではなく常に従業員のニーズを吸い上げる仕組みの事例です。
- アイデアボックスを設け、よりよい環境つくりに務めています
- 目安箱を設置し従業員が常に意見を言える環境を整えています。従業員よりあがってきた意見については月一で検討を行い制度化やフローの見直しを行っております
業界によっては、同業他社と情報交換をしているところもあります。
- 従業員ニーズに対しては他社での制度導入事例などを参考にしている
下記の回答では、若手や女性といった会社として重視していきたい従業員属性に絞ってニーズを拾っているようです。
- 入社1-3年目の従業員向けに年1回近況確認とともに福利厚生を含む社内の制度や取り組みに対しての意見収集
- WLB委員会主催の座談会で従業員から福利厚生に関する意見の吸い上げを行い内容を検討
従業員アンケートの実施でニーズを吸い上げ
従業員アンケートを定期的に実施している会社も多いです。従業員満足度調査とかエンゲージメント調査で併せて訊いているのでしょうか?
- 従業員が意見を送ることができるサーベイツールを設置。サーベイツール経由の意見をもとに、導入もしくは見直しを検討
- 従業員満足度調査を実施し、従業員の希望・問題点を確認して改善を行っている。社内提案制度を実施しており、毎年60~70件の提案があり、7割程度採用している
満足度調査やエンゲージメントサーベイは尋ねたい項目が多いので、あまり福利厚生の質問を用意できません。こうした調査で気になる点が見つかったら別途福利厚生調査を行うという会社もあります。
労使交渉でニーズ把握
労使交渉でニーズ把握との回答は44%です。
- 労働組合との労使検討委員会等を通じて、労働組合から意見聴取している
- 労使協議会で福利厚生を議題に定期的に意見交換をしている
労働組合は従業員のニーズにもっとも接していますし、それを反映するのが組合の役割です。組合には積極的に協力してもらいましょう。福利厚生制度への認知度調査を行っている組合もあります。
まとめ
従業員の福利厚生ニーズを把握しなければ、会社の福利厚生を充実させることはできません。
もちろん、ニーズを把握せずに新たな福利厚生サービスを導入することも可能ですが、従業員が本当に求めているものを提供できなければ、エンゲージメントの向上にはつながらないでしょう。
実際、「福利厚生ニーズを把握していない」と回答した企業はわずか1%であり、多くの職場が会議等での情報収集やアンケート調査を通じて、従業員のニーズを吸い上げています。特に近年は、リモートワークや柔軟な勤務時間を可能にする制度、メンタルヘルスケアの充実など、従業員のワークライフバランスを支援する福利厚生が求められています。
社会や働き方の変化に伴い、ニーズも多様化しています。こうしたニーズに応えられる福利厚生制度は、従業員満足度の向上だけでなく、離職率の低下や採用活動での競争力強化にもつながるでしょう。
従業員の福利厚生ニーズの吸い上げは福利厚生充実の第1歩です。
株式会社労務研究所様と、9の福利厚生事業者(金融機関、福利厚生アウトソーサー 等)は、福利厚生の一層の普及・発展を目的に、優れた福利厚生を実施している、またはこれから福利厚生の充実を図ろうとする意欲ある企業・団体・自治体を表彰する制度、「ハタラクエール」を提供しています。
これまでに352法人が表彰・認証されており、有名企業も数多く表彰されています。(受賞法人リスト)
採用戦略が重要な経営課題となる中、自社の充実した福利厚生制度を求職者にアピールできる絶好の機会です。
エントリー料は不要ですので、これを機に、ご興味のある方はぜひエントリーしてみてはいかがでしょうか。
今年度の応募は10月1日よりスタート致しました。
多くの企業様のご応募を心よりお待ちしております。
資料の請求やご相談等は、下記株式会社労務研究所様のHPより直接お問い合わせください。
筆者が代表を務める株式会社労務研究所では、福利厚生環境の変化、従業員の多様化の中で、今後の共済会の在り方を考えようとの目的で、共済会事業交流会を創設し、運営しています。
<共済事業交流会の全体の流れ>
- 参加共済会は会場に集まっていただきます。リモート参加も可能です。
- 持ち回りで各共済会による事業内容の報告をいただきます。
皆様、普段は聞けない他社の共済事業についての報告をメモを取りながら真剣に聞いていらっしゃいます。 - 報告に対する質疑応答に移ります。
途切れることなく質疑応答がなされ、自共済会の状況と照らし合わせながら、時間ギリギリまで質疑応答を行われます。 - 懇親会を毎回開催します。熱心に情報交換をされています。
ご参加要項 |
開催頻度:年6回開催 |
年会費:66,000円 |
持ち回りで自共済会の事業内容の報告をお願いします。 |
<お申込方法などのお問合せ>
株式会社労務研究所 可児俊信:t.kani@rouken.com
株式会社労務研究所 代表取締役
~福利厚生専門誌「旬刊福利厚生」を発行する出版社
千葉商科大学会計大学院会計ファイナンス研究科 教授
可児 俊信 氏
公式HP:https://rouken.com
ご相談・お問合せはこちらから
1996年より福利厚生・企業年金の啓発・普及・調査および企業・官公庁の福利厚生のコンサルティングにかかわる。年間延べ700団体を訪問し、現状把握と実例収集に努め、福利厚生と企業年金の見直し提案を行う。著書、寄稿、講演多数。
◎略歴
1983年 東京大学卒業
1983年 明治生命保険相互会社(現明治安田生命保険)
1988年 エクイタブル生命(米国ニューヨーク州)
1991年 明治生命フィナンシュアランス研究所(現明治安田生活福祉研究所)
2005年 千葉商科大学会計大学院会計ファイナンス研究科教授 現在に至る
2006年 ㈱ベネフィット・ワン ヒューマン・キャピタル研究所所長 現在に至る
2018年 ㈱労務研究所 代表取締役 現在に至る
◎著書
「新しい!日本の福利厚生」労務研究所(2019年)、「実践!福利厚生改革」日本法令(2018年)、「確定拠出年金の活用と企業年金制度の見直し」日本法令(2016年)、「共済会の実践的グランドデザイン」労務研究所(2016年)、「実学としてのパーソナルファイナンス」(共著)中央経済社(2013年)、「福利厚生アウトソーシングの理論と活用」労務研究所(2011年)、「保険進化と保険事業」(共著)慶應義塾大学出版会(2006年)、「あなたのマネープランニング」(共著)ダイヤモンド社(1994年)、「賢い女はこう生きる」(共著)ダイヤモンド社(1993年)、「元気の出る生活設計」(共著)ダイヤモンド社(1991年)