就業規則を自分で作成するメリット・デメリット

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多くの企業にとって、就業規則の作成や見直しは避けて通れない重要な課題です。特に成長期の企業や、従業員が10人を超える企業では、労働基準法により就業規則の作成が義務付けられています。

中には、これから就業規則を自分で作成しようと考えている経営者や担当者の方もいるかと思います。そこで、この記事では、就業規則を自分で作成する際のメリットとデメリット、そして注意点について詳しく解説していきます。

目次

就業規則を自分で作成するメリット

自社の実情に合った規則作り

就業規則を自分で作成する最大のメリットは、自社の企業文化や実態に即した内容を盛り込むことができる点です。外部に委託する場合、どうしてもテンプレート的な内容になりがちですが、自分で作成することで、従業員の働き方や会社の方針を細かく反映させることができます。

例えば、フレックスタイム制を導入している企業であれば、コアタイムの設定や労働時間の管理方法など、自社の運用に即した具体的なルールを策定できます。また、在宅勤務制度やサテライトオフィスの利用など、最新の働き方に関する規定も、自社の実情に合わせて柔軟に盛り込むことが可能です。

コスト削減効果

就業規則の作成や見直しを、社労士などの専門家に作成を依頼する場合、数万円から場合によっては百万円以上の費用が発生することもありますが、自分で就業規則を作成することで、これらの直接的なコストを抑えることができます。特に、定期的な改定・見直しが必要な場合、そのたびに発生する費用を節約できる点は大きなメリットといえます。

就業規則の理解度向上

就業規則を自分で作成することで、労働基準法をはじめとする関連法規について深く学ぶ機会となります。これにより、日々の労務管理や従業員とのコミュニケーションがより適切に行えるようになります。また、作成過程で従業員の意見を取り入れることで、より実効性の高い就業規則を作ることができます。

就業規則を自分で作成するデメリット

法的リスクの存在

就業規則の作成には、労働基準法をはじめとする様々な労働関連法規の知識が必要です。自分で就業規則を作成する場合、法律の解釈を誤ったり、必要な規定を漏らしたりすることで、後々トラブルの原因となる可能性があります。特に、以下のような点には注意が必要です。

  • 法定の記載事項の漏れ
  • 法令に違反する規定の混入
  • 曖昧な表現による解釈の齟齬
  • 労使間の権利義務関係の不明確な規定

時間的コストの増大

就業規則の作成には相当な時間と労力が必要です。特に、初めて作成する場合は、労働基準法をはじめとする関連法規や自社の属する業界特有の規制・慣行などについて、十分な調査が必要です。他社の就業規則を参考にする場合でも、単なるコピーではなく、自社の状況に適合するよう慎重に検討することが重要です。

また、社内での調整にも相当な時間が必要です。部門ごとの意見集約、管理職層との協議、従業員代表からの意見聴取など、様々な関係者との調整が必要となります。この過程で、複数回の修正や再検討が必要となることも珍しくありません。

このような作業に時間がとられ、日常の業務に遅れが生じたり、他の重要なプロジェクトの進行に影響が出たりする可能性があります。特に、人事部門の規模が小さい企業では、この影響が顕著に表れる傾向にあります。

最新の法改正への対応の難しさ

労働関連法規は頻繁に改正されます。これらの改正に適切に対応し、就業規則を更新していくためには、継続的な情報収集が必要です。例えば、近年では同一労働同一賃金や、時間外労働の上限規制、パワーハラスメント防止措置の義務化など、重要な法改正が相次いで行われています。

このような改正に対応するためには、改正内容の正確な理解はもちろん、自社の制度への影響を分析し、必要な措置を継続的に講じる必要があります。特に中小企業では、専門の法務部門がないケースも多く、これらの対応が大きな負担となるケースがあります。

自分で就業規則を作成する際のポイント

自分で就業規則を作成する際は、以下のポイントに気を付けることで、より良い結果を得ることができます。

専門家への部分的な相談

全面的な作成委託ではなく、重要なポイントや不安な部分だけを専門家に相談するという方法もあります。これにより、コストを抑えながら、法的なリスクを最小限に抑えることができます。

従業員の意見聴取

就業規則の作成過程で従業員の意見を積極的に聴取することは、実効性の高い規則作りに不可欠です。また、労働基準法では、就業規則の作成・変更時に従業員代表の意見を聴取することが義務付けられています。

定期的な見直しの実施

法改正や社会情勢の変化、企業の成長に合わせて、定期的に就業規則を見直す機会を設けることが重要です。最低でも年に1回程度、見直しの機会を設けることをお勧めします。

就業規則の作成・見直しは社労士の依頼がおすすめ

就業規則の作成や見直しにおいて、社会保険労務士(社労士)への依頼をお勧めします。社労士は労働関係法令に精通し、豊富な実務経験を持つ専門家です。特に近年は、働き方改革関連法の施行や新型コロナウイルスの影響による労働環境の変化など、労働法制が複雑化しています。

社労士に依頼することで、最新の法改正に対応した適切な規定の作成が可能となります。また、同業他社の事例や業界の動向についても知見を得ることができ、より実効性の高い就業規則を作成できます。作成後も、定期的な見直しや従業員への説明、労働基準監督署への届出まで、一貫したサポートを受けることができます。

確かに費用は発生しますが、法的リスクの回避や労務トラブルの予防という観点から見れば、十分な投資価値があると言えます。特に、パートタイム労働者や契約社員など、多様な雇用形態がある場合は、専門家のサポートがより重要となります。

まとめ

就業規則を自社で作成することには、確かにメリットとデメリットの両面があります。重要なのは、自社の状況や経営資源を正確に評価し、必要に応じて専門家のサポートも活用しながら、バランスの取れたアプローチを取ることです。

特に、企業規模が小さく、比較的シンプルな就業規則で足りる場合は、自社作成のメリットが大きいと言えます。一方で、複雑な労働条件や特殊な勤務形態がある場合は、専門家の助言を得ながら作成を進めることをお勧めします。

いずれの場合も、就業規則は従業員の権利と義務を定める重要な規範であり、企業経営の基盤となる文書です。その作成には十分な準備と慎重な検討が必要です。自社で作成する場合も、必要に応じて専門家のチェックを受けるなど、適切なリスク管理を行うことが望ましいでしょう。


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