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令和7年|能登半島地震に関する新しい助成金制度を厚労省が発表
令和6年能登半島地震から1年が経過しようとする中、12月17日、厚生労働省は地域の雇用維持に向けた新たな支援策を発表しました(厚生労働省HP:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_47277.html)。
地震からの復興途上にある能登半島地域の企業と労働者を支援するため、在籍型出向を中心とした新制度が整備されることとなりました。本記事では、令和7年から実施される2つの重要な助成金制度について、解説いたします。
災害からの雇用維持と人材確保を支える新制度
能登半島地域では、地震の被害に加え、令和6年9月の豪雨災害も重なり、企業の事業活動や雇用維持に大きな影響が出ています。特に半島という地理的特性から、事業の継続や雇用の維持が困難な状況に直面している企業も少なくありません。
このような地域特有の課題を踏まえ、厚生労働省は在籍型出向を軸とした新たな支援の枠組みを整備しました。
産業雇用安定助成金(災害特例人材確保支援コース)
本制度は、地震の影響で事業活動の縮小を余儀なくされた企業が、在籍型出向により人材を確保する際の支援を目的としています。対象地域は、七尾市、中能登町、羽咋市、志賀町、宝達志水町、輪島市、穴水町、珠洲市、能登町の9市町です。これらの地域に所在する事業所が、経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた場合に利用することができます。
助成率は中小企業で4/5、大企業で2/3となっており、1日当たり8,635円を上限に支給されます。出向期間は1ヶ月以上1年以内とされ、労働者の賃金は出向前と同等水準を維持することが求められます。また、1事業所あたりの支給対象者数は最大500人(従業員10人未満の事業所は10人)まで認められており、地域の実情に応じた柔軟な支援が可能となっています。
雇用調整助成金(能登半島 地震豪雨・半島過疎臨時特例)
令和6年12月末で終了する現行の地震特例に代わる新制度として、令和7年1月から12月末までの1年間限定で実施されます。この制度は、半島という地理的制約や複合災害の影響を考慮し、従来の制度と比べて要件が大幅に緩和されています。
具体的には、雇入れ後6ヶ月未満の労働者も対象とし、休業規模要件も中小企業で1/40以上(大企業は1/30以上)に緩和されています。また、残業相殺の適用も除外されるなど、利用しやすい制度設計となっています。特に注目すべき点として、教育訓練を実施した場合の助成率が上乗せされる点や、支給限度日数が300日に設定されている点が挙げられます。
申請手続きと今後の対応
これらの制度を活用される場合は、事前に要件の確認や必要書類の準備が重要となります。特に在籍型出向を検討される場合は、労使間での協定締結や出向契約の整備など、慎重な準備が必要となりますので、ご注意ください。
また、制度の利用にあたっては、労働者の同意取得や労働条件の明確化など、適切な労務管理も求められます。これらの手続きを確実に行うことで、スムーズな制度活用が可能となります。
まとめ
令和7年1月より開始される新たな雇用支援制度は、能登半島地域の特殊性に配慮した画期的な内容となっています。在籍型出向を促進する「産業雇用安定助成金(災害特例人材確保支援コース)」と、要件を大幅に緩和した「雇用調整助成金(能登半島 地震豪雨・半島過疎臨時特例)」の2本柱で、地域の雇用維持を支援します。
これらの制度を効果的に活用するためには、事前の準備と適切な実務対応が重要です。申請を検討している方は、スムーズに申請ができるよう、早めの準備に取り掛かるようにしましょう。