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人材戦略を支える福利厚生 ④「カフェテリアプラン ~全従業員が満足する福利厚生~」
「人事プロフェッショナルの福利厚生ガイド」の第4回です。
経営の視点から福利厚生を見直し活用していこうという連載です。
私は、福利厚生専門誌「旬刊福利厚生」を発行する出版社、
株式会社労務研究所の代表取締役可児俊信です。
私がお相手をつとめますサトです。
よろしくお願いいたします。
今日は、カフェテリアプランの話をします。
カフェテリアプランは単なる福利厚生に止まらず、
人事制度の見直し、採用・定着といった課題についても有効です。
カフェテリアプランとは?
カフェテリアプランは、従業員が福利厚生を利用する際に
会社が付与したポイントを補助金として消化し、
福利厚生をより安く利用する仕組みです。
最近、導入する会社が増えていると聞いていますが、
他の福利厚生制度とは何が違うのでしょうか?
従来の福利厚生制度とカフェテリアプランを比較してみましょう。
従来の福利厚生制度では、すべての従業員に同じ福利厚生が提供され、また、選択肢も限られています。そのため、個々の従業員のニーズやライフスタイルの違いが考慮されないケースがありました。
これに対してカフェテリアプランでは、様々な福利厚生の中から選択できるため、従業員は自分のニーズやキャリアなどに合せて最適な組み合わせを見つけることができます。下記図表を見てください。
カフェテリアプランは、いろんな福利厚生制度がメニューとして1つのカフェテリアプランの中に入れ、従業員は、そこから自分が必要なメニューを選んで補助を受けます。
その意味では、カフェテリアプランは福利厚生を選択できる仕組みであるともいえます。
カフェテリアプランは、どの会社も導入したいと考えています。
しかし、社内の同意労働組合の合意、原資の確保という課題をクリアできないので、導入に至らない会社も少なくないと思います。
カフェテリアプラン導入のメリット
福利厚生制度をカフェテリアプランにまとめると
どんなメリットがありますか?
カフェテリアプラン導入による主なメリットは三点です。
福利厚生制度を利用しやすくなる
まず、カフェテリアプランのメニューをみれば、自分が必要な補助があるので、福利厚生制度を利用しやすくなります。
いちいち自分が使いたい福利厚生制度をさがさなくてもメニューをみれば一目瞭然です。
予算の管理が楽になる
二つ目のメリットは人事・総務側のメリットで、予算管理が楽です。
制度がたくさんあるとそれぞれ予算を見積もって計上し、予算消化状況も管理しないといけません。
いままでは人事総務が申請書に添付された領収書をみて補助していいか、いちいち判断していました。
カフェテリアプランなら、付与するポイント額だけを予算計上すれば済み、付与ポイントの範囲内でしか消化されないため、予算がオーバーすることはありません。
しかも、外部のアウトソーサーに運営を委託すれば、社内での事務はわずかです。
カフェテリアプランを新規導入する際、
運営をアウトソーシングできるのは助かります。
公平性を保った福利厚生を提供できる
例えば、従業員が禁煙したいので禁煙外来で自己負担する医療費を補助してほしいと言ってきたらどうしたらよいですか?
健康管理に良いので、制度として取り上げたいですが、
すでにたばこをやめた従業員や元々吸わない従業員にとっては、
「喫煙者だけ補助するなんて不公平」との意見もあるかもしれません。
一部の従業員だけのニーズ応える福利厚生制度を新設すると、社内で摩擦が発生します。
しかし、カフェテリアプランを導入済みの会社が、禁煙治療費を補助するメニューを追加する場合は簡単です。
従業員それぞれに与えられたポイントを消化して禁煙治療費を補助するので、たばこを吸わない人のポイントが減るわけではありません。
付与ポイントを増やすことなくメニューを追加するだけですから会社の福利厚生予算は変わりません。
そのため、いろいろなニーズにドンドン対応できます。
通常はひとつの福利厚生制度を新設するだけでも大変ですが、カフェテリアプランがすでに導入されていれば追加し放題です。
導入による業務への影響
カフェテリアプランの導入で増える事務は二つです。
一つはカフェテリアプラン制度の対象となっている従業員の名簿を入退社発生の都度、更新してアウトソーサーに連絡することです。
もう一つは、従業員が先月使ったポイント額をアウトソーサーから連絡を受け、従業員の給与で加給・課税します。
一方で、軽減する事務はたくさんあります。
福利厚生制度をカフェテリアプランのメニューに移しますので、移した制度に関連する事務はなくなります。
また予算管理も不要になります。全体として福利厚生事務は軽減します。
しかも新しいメニューも手間かかることなく追加し放題です。
従業員のニーズの変化
ちなみに、カフェテリアプランとは
レストランのカフェテリアのことですか?
正解です。今までの福利厚生運営は定食です。
会社が決めたメニューしかでてこないということです。
20世紀のころは、従業員は皆同じようなニーズでした。
正従業員で男性で結婚している世帯主で終身雇用という属性がほぼ単一でした。
今は従業員の属性は多様化しています。女性も増えました。
非正規従業員も、60歳を過ぎた高年齢の人も、外国人、障害者、LGBTQなど・・・。
育児をしながら、介護をしながら、病気治療をしながら働くという従業員もいます。
いろんな従業員がいると、ニーズが多様になります。
だからカフェテリアプランで、自分のニーズに合ったメニューを選べることが必要です。
日本の企業や官公庁の福利厚生制度は、
20世紀の頃の男性世帯主を前提にした福利厚生制度が
まだまだ残っています。
社宅とかも、世帯主でないと入れません。
女性従業員からは大ブーイングです。
男性世帯主を前提にしているのは福利厚生だけでなく、給与体系すべてです。
食事手当、住宅手当、寒冷地手当、地域手当とかの生活給もまだ残っています。
世帯主だから、生計責任があるので、生活費を補填する給与が望まれるのです。
いまや生計をまかなう手当は、成果主義とはマッチしないうえ、世帯主でない従業員は受給資格がないことは多いので見直しがされています。
このように20世紀型人事制度・福利厚生制度を見直すきっかけとしてフェテリアプランを導入する事例も目立っています。
株式会社労務研究所様では、福利厚生の一層の普及・発展を目的に、優れた福利厚生を実施する法人、及びこれから福利厚生の充実を図ろうとする意欲ある企業・団体・自治体を表彰する制度、「ハタラクエール」を提供しています。
これまでに252法人が表彰・認証されており、有名企業も数多く表彰されています。(受賞法人リスト)
採用戦略が重要な経営課題となる中、自社の充実した福利厚生制度を求職者にアピールできる絶好の機会です。
エントリー料は不要ですので、これを機に、ご興味のある方はぜひエントリーしてみてはいかがでしょうか。
なお、今年度の応募は1月末で締め切られました。
次回の応募受付は2024年10月からです。
資料の請求やご相談等は、下記株式会社労務研究所様のHPより直接お問い合わせください。
株式会社労務研究所 代表取締役
~福利厚生専門誌「旬刊福利厚生」を発行する出版社
千葉商科大学会計大学院会計ファイナンス研究科 教授
可児 俊信 氏
公式HP:https://rouken.com
ご相談・お問合せはこちらから
1996年より福利厚生・企業年金の啓発・普及・調査および企業・官公庁の福利厚生のコンサルティングにかかわる。年間延べ700団体を訪問し、現状把握と実例収集に努め、福利厚生と企業年金の見直し提案を行う。著書、寄稿、講演多数。
◎略歴
1983年 東京大学卒業
1983年 明治生命保険相互会社(現明治安田生命保険)
1988年 エクイタブル生命(米国ニューヨーク州)
1991年 明治生命フィナンシュアランス研究所(現明治安田生活福祉研究所)
2005年 千葉商科大学会計大学院会計ファイナンス研究科教授 現在に至る
2006年 ㈱ベネフィット・ワン ヒューマン・キャピタル研究所所長 現在に至る
2018年 ㈱労務研究所 代表取締役 現在に至る
◎著書
「新しい!日本の福利厚生」労務研究所(2019年)、「実践!福利厚生改革」日本法令(2018年)、「確定拠出年金の活用と企業年金制度の見直し」日本法令(2016年)、「共済会の実践的グランドデザイン」労務研究所(2016年)、「実学としてのパーソナルファイナンス」(共著)中央経済社(2013年)、「福利厚生アウトソーシングの理論と活用」労務研究所(2011年)、「保険進化と保険事業」(共著)慶應義塾大学出版会(2006年)、「あなたのマネープランニング」(共著)ダイヤモンド社(1994年)、「賢い女はこう生きる」(共著)ダイヤモンド社(1993年)、「元気の出る生活設計」(共著)ダイヤモンド社(1991年)