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2023年(令和5年)8月、業務改善助成金の対象や助成率など拡充へ
厚生労働省は2023年(令和5年)8月31日をもって、企業の賃上げをサポートする「業務改善助成金」の制度を一層充実させると発表しました。
この変更により、さらに多くの企業がこの助成金を活用することができるようになります。
今回の拡充の主なポイントを紹介します。
業務改善助成金とは
業務改善助成金は、中小企業・小規模事業者が生産性向上のための設備投資などを行い、事業場内の最低賃金を一定額以上引き上げた場合に、その設備投資などにかかった費用の一部を国が助成する制度です。
具体的には、機械設備、POSシステムの導入、外部専門家によるコンサルティング費用など、労働能率の増進に資する設備投資等に対して助成が行われます。賃金引上げ幅や企業規模によって助成率や上限額が異なり、最大で費用の10分の9(上限額600万円)まで助成を受けることができます。
業務改善助成金は、最低賃金の引き上げに向けた中小企業の生産性向上の取り組みを支援し、労働者の賃金水準の向上を図ることを目的としています。
業務改善助成金の対象となる事業所の範囲が拡大
今回の業務改善助成金の拡充の主なポイントとして、対象となる事業所の範囲が拡大が挙げられます。
従来、業務改善助成金の対象とされる事業所は、その最低賃金と地域別最低賃金との差額が30円以内である必要がありました。
しかし、2023年(令和5年)8月31日以降は、この差額が50円以内の事業所まで拡大されます。これにより、より多くの中小企業・小規模事業者が業務改善助成金を活用できるようになり、賃金引き上げに向けた取り組みがしやすくなることが期待されます。
なお地域別最低賃金とは、産業や業種に関係なく各都道府県単位で適用される最低賃金のことをいい、東京都の地域別最低賃金は1,072円です。(2023年10月からは41円引き上げられ1,113円になる見通し)この地域別最低賃金は、その地域で働くすべての労働者に適用されるもので、毎年、地域の経済状況や生活水準を考慮して見直しが行われています。
このような制度の中で、今回の業務改善助成金の拡充は、特に中小企業における賃金水準の底上げを支援する重要な施策として位置付けられています。
一定の条件を満たせば賃金引き上げ後の申請が可能
さらに、業務改善助成金の申請についても変更があります。
業務改善助成金の申請について、従来は賃上げ前に行う必要がありましたが、2023年(令和5年)8月31日以降、特定の条件を満たす事業所については、賃上げ後でも業務改善助成金の申請をすることが可能になりました。具体的には、事業場規模50人未満の事業場で、賃上げが令和5年4月1日から令和5年12月31日の間に行われた場合が該当します。
従来の事前申請制度では、賃上げの計画段階で申請手続きを行う必要があり、タイミングを逃してしまうケースも少なくありませんでした。今回の改正は、中小企業・小規模事業者にとってより使いやすく、実情に即した柔軟な対応といえます。
業務改善助成金の助成率区分となる金額の引き上げ
業務改善助成金の助成率は、賃上げ額によって区分されていますが、今回の拡充で、より高い助成率が適用されやすくなりました。具体的には下記の通りです。
(a)助成率9/10
事業場内最低賃金が870円未満から900円未満に拡大
(b)助成率4/5(9/10)
事業場内最低賃金が870円以上920円未満から900円以上950円未満に拡大
(c)助成率3/4(4/5)
事業場内最低賃金が920円以上から950円以上に拡大厚労省HP:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_34809.html
業務改善助成金に関するご相談・お問合せはSATO社会保険労務士法人まで
日本全国には、3000を超える助成金や補助金が存在していますが、多くの事業者がこれらの機会を活用していないのが現状です。
私たちSATO社会保険労務士法人は、これらの助成金や補助金に関する疑問や不安を解消し、最適なサポートを提供することを目指しています。ぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
今回の業務改善助成金の拡充は、中小企業・小規模事業者の賃金引き上げを強力に後押しする重要な制度改正となっています。主な改正点として、①対象事業所の範囲が地域別最低賃金との差額50円以内まで拡大されたこと、②50人未満の事業場については2023年4月から12月までの賃上げについて事後申請が可能になったこと、③助成率区分となる賃金額が引き上げられ、より高い助成率が適用されやすくなったことが挙げられます。
これらの改正により、より多くの企業が制度を活用しやすくなり、生産性向上のための設備投資と従業員の賃金引き上げの両立が期待されます。業務改善助成金の活用を検討されている事業者の方々は、専門家への相談を通じて、自社に最適な形での制度活用をご検討ください。