2025年(令和7年)2月20日、厚生労働省は「労災補償業務の運営に当たって留意すべき事項について」を発表しました。この通知は、労災補償業務の適正かつ迅速な運営を確保するため、全国の都道府県労働局長に宛てに発出されたものです。
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令和7年度、労災補償業務の運営について特に留意すべき3つの事項
本通知で厚労省は労働局に対して、特に以下の3つの点に重点を置いた運営を求めています。
- 長期未決事案の早期解消と発生防止
- 業務上疾病事案に係る的確な労災認定
- 業務実施体制の確保及び人材育成
長期未決事案の早期解消と発生防止
長期未決事案とは、請求書の受付後6か月を経過しても決定が下されていない事案を指します。令和7年1月時点で前年同期比でわずかに減少しているものの、依然として高い水準で推移しています。
そのため厚生労働省では、長期未決事案の解消を目的として、
- 効率的な調査計画の策定
- 初動調査の早期着手
- 定期的な事案検討会の開催 等
を求めています。特に、過労死等の複雑困難事案に関しては、労働基準監督署と都道府県労働局が連携し、原因の分析と解決に努めることが指示されています。
業務上疾病事案に係る的確な労災認定
過労死や石綿関連疾患などの業務上疾病事案に対して、「労災認定基準の適切な運用」や「関係部署との連携」など、適切な労災認定を行うことが求められています。
その中で、「不正受給防止に対する的確な対応」や、「労災隠しの排除に係る対策の一層の推進」が挙げられている点は注意が必要です。
「不正受給防止に対する的確な対応」については、不正受給の疑いが生じた事案については、必要な調査を実施する等適切な対応を行うとともに、本省へ速やかな報告を徹底することなどが求められています。
「労災隠しの排除に係る対策の一層の推進」については、健康保険の不支給決定情報を活用し、労災請求の勧奨を行うとともに、労災隠しが疑われる場合等には労働基準監督署に情報提供を行うこととされています。また、メリット制が適用されている有期事業場において、労災隠しが判明した際には速やかに関係部署へ情報提供を行うよう求められています。
不正受給防止や労災隠しへの対応・指導が強化される可能性があるので、注意しましょう。
業務実施体制の確保及び人材育成
労災補償業務の円滑な運営には、適切な業務体制の確保と人材育成が不可欠であるとし、効率的な事務処理体制を整え、中核的人材の育成を進めることが求められています。
まとめ
令和7年度の労災補償業務では、長期未決事案の解消、業務上疾病の的確な労災認定、業務実施体制の確保と人材育成の3点が特に重要視されています。迅速かつ公正な労災補償を実現するため、関係機関が適切な対応を行うことが求められています。
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