「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案」が第217回国会(令和7年常会)に提出されました。その中の重要な改正点の一つとして、現在、従業員50人以上の企業に義務付けられているストレスチェック制度が、50人未満の企業にも適用される見通しとなっています。
SATO社労士法人の無料メルマガ
- 面倒な情報収集は不要!
- 最新の法改正や労務管理ノウハウをわかりやすくお届け
- 経営者・人事担当者が今すぐ押さえるべき実務対応
50人未満の企業に対するストレスチェック義務化の背景
現行の制度では、従業員50人以上の事業場に対してストレスチェックの実施が義務付けられています。一方で、50人未満の事業場に関しては、違反しても法的な罰則のない「努力義務」とされてきました。
今回、国会に提出された「労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案」では、この努力義務を廃止し、50人未満の企業にもストレスチェックの義務を課すことが明記されました。
この改正の背景には、近年増加しているメンタルヘルス不調の問題があります。令和5年度の精神障害に関する労災支給決定件数は883件と過去最多を記録しました。また、メンタルヘルス不調によって1か月以上の休業や退職を余儀なくされた労働者がいる事業場の割合も増加傾向にあり、1割を超える水準で推移しています。
こうした状況を受け、小規模事業場も含めたすべての企業において、より強力なメンタルヘルス対策を推進するための改正が行われることになりました。
50人未満の企業にストレスチェックが義務化されるのはいつから?
法律案によると、50人未満の企業に対するストレスチェック義務の施行時期は、「公布後3年以内に政令で定める日」とされています。
この3年間の猶予期間は、小規模事業場における負担を考慮し、施行までの十分な準備期間を確保するために設けられました。企業側は、この期間内に社内体制を整備し、スムーズにストレスチェックを導入できるようにする必要があります。
50人未満企業でもストレスチェックの準備が必要
今回の法案が可決されると、50人未満の企業でもストレスチェックの実施が義務化されます。
ストレスチェック制度の目的は、企業が労働者のストレスの程度を把握し、職場環境の改善を通じて、労働者のメンタルヘルス不調を未然に防ぐことにあります。
ストレスチェックの実施にあたっては、実施体制の整備や実施方法の策定、社内規程の見直しや労働者への周知など、準備・対応が必要になります。
公布から3年間は準備期間がありますので、まだストレスチェックを実施していない企業は、この期間に円滑な導入に向けた体制を整えることが必要です。
まとめ
今回の法改正により、従業員50人未満の企業にもストレスチェックの実施が義務付けられる見通しとなりました。精神疾患による労災認定の増加やメンタルヘルス不調の影響を考慮し、すべての事業場においてメンタルヘルス対策を推進することが求められています。
施行は公布後3年以内とされており、企業側はこの期間を活用してストレスチェックの実施体制を整える必要があります。ストレスチェックを適切に導入することで、従業員の健康管理を強化し、働きやすい職場環境を整備しましょう。
SATO社労士法人の無料メルマガ
- 面倒な情報収集は不要!
- 最新の法改正や労務管理ノウハウをわかりやすくお届け
- 経営者・人事担当者が今すぐ押さえるべき実務対応