公正取引委員会、フリーランスとの取引で45社に指導

公正取引委員会、フリーランスとの取引で45社に指導

令和7年3月28日、公正取引委員会は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(通称:フリーランス取引適正化法)に基づき、45社に対して指導を実施したと発表しました。

今回の調査では、ゲームソフトウェア業、アニメーション制作業、リラクゼーション業、フィットネスクラブ業といった、フリーランスとの取引が多い業種に対して集中的な調査が行われました。違反の疑いが確認されたケースでは、契約書や発注書の記載不備、報酬支払期日の設定ミスなどが指導の対象となっています。

SATO社労士法人の無料メルマガ

  • 面倒な情報収集は不要!
  • 最新の法改正や労務管理ノウハウをわかりやすくお届け
  • 経営者・人事担当者が今すぐ押さえるべき実務対応

目次

フリーランス取引適正化法とは

この法律は、正式名称を「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」といい、フリーランス(個人事業者)と企業などの発注事業者との間で行われる取引の公正性を確保し、フリーランスの就業環境を整えることを目的としています。

発注者である企業に対しては、以下のような義務が課されています。

  • 業務内容、報酬額、支払期日、提供場所等の契約条件明示義務
  • 報酬支払期日は、納品日から60日以内かつできる限り短い期間で設定
  • フリーランスの帰責事由のない返品や減額など、不公正な取引の禁止

この法律は2024年11月(令和6年)に施行され、IT、クリエイティブ、ヘルスケアなど、さまざまな業界に大きな影響を与えています。

指導された主な事例の一部

今回の調査で公正取引委員会が指導を行ったケースの一部を以下に紹介します。フリーランスへの委託業務において、書面の不備や報酬の支払条件の不適切な設定が多数確認されました。

ゲーム業界の事例

  • イラスト制作をフリーランスに委託したが、報酬額や支払期日が明示されていなかった
  • 「請求書受領月の翌月末日」と設定 → 納品日から60日を超えるリスクがある

アニメ制作業界

  • 原画作成や音響演出を委託したが、検査完了日・報酬額・支払期日が未記載

リラクゼーション業界

  • 整体施術の業務委託において、役務提供の場所・期日が明示されていなかった
  • 報酬支払期日を「翌月10日まで」と記載 → 具体的な日付を特定していないため不備

フィットネスクラブ

  • 業務開始後に取引条件を通知していた → 明示が遅れており違反の可能性
  • 「請求書受領月の翌月末」など、納品日から60日を超える支払期日設定は、法令違反となるおそれあり

企業の注意点

フリーランスに業務委託をする企業は、下記の取引条件を書面または電磁的方法によって明示する必要があります。

  • 給付の内容
  • 報酬の額支払期日
  • 業務委託事業者・フリーランスの名称
  • 業務委託をした日
  • 給付を受領する日/役務の提供を受ける日
  • 給付を受領する場所/役務の提供を受ける場所
  • 検査完了日
  • 現金以外の方法で報酬を支払う場合は、報酬の支払方法に関して必要な事項

とくに報酬の支払期日は、「翌月10日まで」など曖昧な表現を避け、「◯月◯日」などの具体的な日付を設定する必要があります。

また、納品(給付)日から60日を超えた支払いスケジュールは、法律違反になるリスクがあることを改めて認識することが重要です。

まとめ

フリーランス取引適正化法の施行により、これまで慣例的に行われてきた委託契約の対応にも法令順守の観点が強く求められる時代となりました。特に、契約書や発注書の整備、社内フローの見直し、法令に基づいた支払期日の管理に注意が必要です。

今回の公正取引委員会による指導は、特定の業界に限らず、フリーランスと業務委託を実施しているすべての企業にとって注意すべき内容といえます。

「参照(公正取引委員会HP:https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2025/mar/250328_FL.html」)」

SATO社労士法人の無料メルマガ

  • 面倒な情報収集は不要!
  • 最新の法改正や労務管理ノウハウをわかりやすくお届け
  • 経営者・人事担当者が今すぐ押さえるべき実務対応

この記事をシェア
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次