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2022年7月から歯科技工士の労災特別加入が可能になります
厚生労働省の労働政策審議会(労政審)労働条件分科会労災保険部会は3月、歯科技工士が行う事業を新たに特別加入の対象に加える「労災保険法施行規則及び労働保険徴収法施行規則」の改正を「妥当」と認め、労政審の答申としました。施行は令和4年7月1日です。
料率は、類似の既存業種である「医療業」が含まれる「そのほかの各種事業」とあわせて、「1000分の3」としました。
労災保険の特別加入とは?
そもそも労災保険の特別加入制度とはどのような制度でしょうか。
特別加入制度とは、個人事業主や一人親方など、労働者以外の方のうち、業務の実態や災害の発生状況からみて、労働者に準じて保護することがふさわしいと見なされる人に、一定の要件の下に労災保険に特別に加入することを認める制度です。
特別加入できる方の範囲は、中小事業主等・一人親方等・特定作業従事者・海外派遣者の4種に大別されます。
労災保険は、日本国内で労働者として事業主に雇用され賃金を受けている方を対象としています。
そのため、事業主・自営業主・家族従業者など労働者以外の方は労災保険の対象にならず、業務により負傷した場合などでも、原則として労災保険給付を受けることは出来ません。
しかし、中小事業においては、事業主は労働者とともに労働者と同様の業務に従事する場合が多いこと、また、建設の事業などの自営業者は、いわゆる一人親方として、労働者を雇わずに自分自身で業務に従事することを鑑み、「特別加入制度」を適用し、労働者に準じて保護することを目的としています。
歯科技工士が特別加入制度の対象となった理由
歯科保健医療に関わる専門職は、歯科医師、歯科衛生士、そして歯科技工士の3職種です。
その歯科技工士の主な仕事は、義歯や被せ物を製作することで、全国に約3万4,000人が就労しています。
その主な就業場所は病院や診療所の歯科技工室、それともう一つは、独立した施設である歯科技工所です。
約3万4,000人の就労者のうち、73%が歯科技工所で業務を行っている一方、その歯科技工所は全国に約2万1,000件あります。
そのうち77%が、いわゆる労働者以外で労働者を雇用しないで業務に従事する一人親方です。
その歯科技工所に関係する業務環境の中で、業務上、けがや病気に掛かった者があるかという質問に対して、約17%ほどが掛かったことがあるという報告があります。
金属機械の仕様による負傷や粉じんの吸引、患者の血液等からの感染などのリスクがあり、業界団体からは、セーフティネットとしての労災適用を求める声が上がっていました。(参考:第103回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会(議事録) )
政府はフリーランスで就業する場合の労災保険特別加入の適用を拡大しており、2021年4月には、アニメーション制作作業従事者や柔道整復師、同年9月には自転車配達員やITフリーランスが追加されています。