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ダブルワークをしている場合、労災保険と雇用保険はどうなる?【2020年9月改正】
コロナ禍において、複数の会社で働く、いわゆるダブルワーカーが増えています。
そこで今回は、二つ以上の事業所で働く場合(ダブルワーク)の労災保険と雇用保険について解説したいと思います。
改正後、労災保険は総合的に評価されます
まずは労災保険について説明します。
以前は、兼業・副業などで複数の会社を掛け持ちして働く場合、一つ一つの会社で個別に負荷を評価されていたため、本業・副業どちらにおいても労災が認定されないということがありました。
しかし、兼業・副業が一般的になる中で、2020年9月に労災保険法が改正され、二つ以上の会社で働く場合は、負荷を総合的に評価することとなりました。
保険給付額の算定方法
まず保険給付額については、「給付基礎日額」の算定方法が変更されています。
改正後は、すべての就業先の賃金額を基礎として計算することになりました。
たとえば、本業A社の賃金が20万円、副業B社の賃金が10万円の場合、合計した30万円で保険給付を算定することになります。
労働時間の要件
また「脳血管疾患や精神障害にかかわる労働時間の要件」についても、各就業先の事業場で労働した時間を合算して判断されることになりました。
いわゆる「過労死ライン」に関しても、合算した時間数が適用されることになったのです。
具体的には、各就業先の残業時間を合算して、1か月100時間を超えるか、または発症前2か月から6か月前の残業時間が80時間を超えるか、という点から過労死ラインにあたるかどうか判断されます。
ダブルワークと雇用保険
労災保険については複数の事業場で働くことが考慮されるようになりましたが、雇用保険については複数で働いていても、資格取得は原則として一つの事業場のみと定められています。
そのため、複数事業場で働く労働者であって、どちらにおいても1週間の労働時間が20時間未満の場合は、原則として雇用保険の被保険者になることができません。
しかし、2022年1月より、65歳以上の高年齢者についてのみ、一部が改正されました。
65歳以上の複数事業労働者は、1事業所における1週間の所定労働時間が20時間未満であっても、一定の要件を満たせば、雇用保険の高年齢被保険者となることができるようになったのです。
高年齢者被保険者は失業した場合、一般被保険者の基本手当の代わりに「高年齢求職者給付金」を受け取ることができます。
この給付金は一時金ですが、基本手当の日額相当額の30日分または50日分が支給されます。
コロナ禍において副業兼業が増える中、手続きも煩雑化しています。
最新の改正情報などに注意しましょう。