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社労士に社会保険手続きの業務委託をするメリットとデメリット
事業規模の拡大などで従業員が増えると、それに伴い、社会保険や労働保険の手続き業務も増加します。資格取得や喪失手続きだけでなく、育児休業や傷病手当、労災申請などその業務の内容は多岐にわたります。
これらの業務は、会社にとっても従業員にとっても非常に重要なものですが、企業の売上・業績に直結するものではありません。そのため、「できるなら効率化したい」と考える経営者や担当者の方が多いのではないでしょうか。
そのような場合、社労士に業務委託するのは、1つの有効な選択肢といえます。
ただし、社労士への業務委託はメリットばかりでなくデメリットも存在します。社労士への業務委託で、成果を出すためには、メリットとデメリットの内容を事前にしっかりと比較検討することがとにかく重要です。
そこで今回や、社労士に業務委託をする場合のメリットとデメリットについて解説したいと思います。
社労士に業務委託をするメリット3つ
社労士に業務委託をすることで企業や事業者が得られる主なメリットを3つ紹介します。
人事・労務に関する業務の効率化
社労士に業務委託をした場合に企業が得られる最も大きなメリットが、人事労務に関する業務の効率化です。
企業が従業員を1人でも雇用すると、社会保険・労働保険に関するさまざまな手続き業務が発生します。そして、それらの業務は、従業員の数が増えるにつれて業務量も増加し複雑化します。
これを社内ですべて処理しようとすると、一部の担当者に過度な負担がかかり、手続きのミスや遅延の原因になってしまいます。また、手続き業務に時間が割かれてしまう結果、事業戦略や人材育成などコア業務への時間が奪われることにもなってしまいます。
社労士に社会保険や労働保険の手続きを業務委託すれば、企業はこれらの負担から解放されることになります。また、社労士は手続き業務のプロなので、ミスや遅延もなくなるので、安心して本来の業務に集中することが可能になるのです。
最新の法改正に対応できる
社会保険や労働保険の手続きに関連する法令は、健康保険法や厚生年金保険法、労働者災害補償保険法、雇用保険法など多岐にわたります。これらの法令は、頻繁に改正されるため、最新の改正法に基づいて業務を行うのは、簡単なことではありません。
最新の法改正情報を厚生労働省のHPなどで確認し、内容を理解したうえで、場合によっては書式・様式を変更したうえで手続きを行うという作業が必要になりますが、これには多くの時間や人員が必要です。最新の法令に基づかずに手続きを行った場合、申請が受け付けてもらえず再提出になる可能性もあります。
多くの社労士は、常に法改正情報に気を配り、最新の法令に基づいて業務を処理します。そのため、社労士に業務委託をすれば、最新の改正法に基づいて適正に手続きが行われるというメリットがあるのです。
助成金に関するアドバイスを受けられる
多くの社労士事務所では、社会保険の手続き業務だけでなく、助成金のサポートも行っています。そのため、社労士に業務委託をすれば、自社にあった助成金のアドバイスを受けられる可能性があります。
助成金は、支給基準を満たしていればほぼ100%受給できるうえに、基本的に返済不要で用途も自由です。政府では事業者を支援するため、多くの助成金を用意していますが、情報提供不足のため十分に活用されていないのが現状です。
社労士から助成金のアドバイスをもらいつつ、必要に応じて、そのまま申請の代行まで依頼できるというのは企業にとって大きなメリットといえるでしょう。
社労士に業務委託をするデメリット3つ
社労士に業務委託をする場合、メリットだけでなくデメリットも発生します。社労士への業務委託で失敗しないためには、メリットだけでなくデメリットもしっかりと押さえておくことが重要です。
社労士に支払う報酬・顧問料の発生
社労士に業務委託をすると、専門的なサービスが受けられる一方で、報酬や顧問料などの名目で費用が発生します。また、社労士に社会保険手続きを業務委託する場合、多くは定期契約となるため、固定費として発生する点に注意しましょう。
この費用が予算内で適正かどうか、また、費用に見合った成果が得られるのかどうか、慎重に見極める必要があります。
費用の目安・相場ですが、以前は社労士連合会が定めた基準に基づいていましたが、現在は自由化が進み、委託企業の従業員数やサービスの範囲、オプションの有無等によって、社労士事務所ごとに大きく幅があるのが現状です。
社労士に業務委託をする際は、事前に料金とサービスの範囲をしっかりと確認し、それがメリットに見合うかどうか検討しましょう。
期待した結果が得られない
社労士に業務委託をしても、期待していた効果を得られないケースがあります。例えば、「社会保険手続きを全て丸投げしたつもりだったのに、業務の一部が自社で対応しなければならない」などです。
こうしたケースは、主に委託する企業側と社労士側とのコミュニケーション不足によって発生します。企業側が、どんな課題を抱えていて、社労士にどんな結果を期待しているか、社労士との認識が一致していない場合にこのようなケースが起こります。
そうならないためには、社労士と契約を締結する前に、しっかりとコミュニケーションをとり、認識をすり合わせておくことが重要です。
社内体制の見直しが必要
社労士に社会保険や労働保険の手続きを業務委託した場合、それまで担当していた従業員の役割や権限の見直しが必要になるケースがあります。場合によっては、この見直しに社内から不満が出る可能性もあります。
そのため、社労士に業務委託をする場合は、事前に計画を社内に周知し、影響のある従業員に対しては、一人ひとりとコミュニケーションをとりながら進めていきましょう。
社労士に業務委託をする際の注意点
社労士に業務委託をする際は、メリットとデメリットの比較の他、社内の課題を事前に整理しておくことも重要です。
社内の課題を整理することで、委託の目的や範囲が明確になり、効果的な業務委託ができるようになるからです。自社の課題を整理すると、予算だけでなく、本当に社労士に委託するべき業務の内容や範囲、そして求めるサービスの品質などが明らかになります。
自社の課題が曖昧なまま社労士の検討を始めると、どこまで社労士に業務委託すればいいのかがよくわからず、結果として無駄なサービスまで契約してしまうケースがあります。また、社労士側としても、クライアントの課題がわからなければ、どんなサービスを提案してよいかがわからず、なかなか話し合いが進まないという可能性もあります。
業務委託をする際の社労士の選び方
社労士に社会保険手続きを業務委託する際は、社労士事務所の規模や得意な業務分野に注意しましょう。
自社の規模に合わない社労士事務所に業務委託しても、満足のいく結果が得られる可能性は低いでしょう。例えば、従業員数が1万人を超える事業所が、個人でやっている社労士事務所に業務委託をしても、スムーズに対応できない可能性があります。
また、社労士事務所にはそれぞれ得意な分野があるので、労務相談や給与計算に特化した社労士事務所に、社会保険の手続きを委託しても、ミスや遅延につながるかもしれません。
現在日本には、約26,000の社労士事務所があり、それぞれ事務所の規模や得意な業務分野があります。その中で、自社の課題解決に適した社労士を選ぶことが重要です。
セキュリティ面は特に注意
社会保険手続きでは、給与情報やマイナンバーなど従業員の重要な個人情報を扱う場面が多くあります。そのため、社労士に業務委託をする際は、その社労士がどの程度セキュリティに力を入れているのかチェックすることが重要です。
社労士は法律上守秘義務を負っているため、故意に個人情報を漏洩させることは基本的にありません。ですが、ヒューマンエラーやサイバー攻撃等により、万が一漏洩した場合には、企業に甚大な被害が発生する可能性があります。
プライバシーマークや情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の認証、SRPⅡ、ISOなど第三者機関の認証を受けているか、また、契約後に定期的な監査を実施できるかどうか、など確認しておきましょう。
また、個人情報の取り扱いに関しては、契約時に明確な条項を設けることも効果的です。個人情報の取り扱い方針、セキュリティ対策、万が一の情報漏洩時の対応策などを明記することで、社労士事務所に明確なガイドラインを設定します。
まとめ
社労士に社会保険手続きを業務委託をすることは、企業にとって人材不足や専門知識の不足といった課題を解決するための有効な選択肢の一つです。しかし、社労士を検討する際は、メリットとデメリットを慎重に比較検討することが重要です。
この検討を怠ると、期待された効果が得られないばかりか、従業員とのトラブルやセキュリティ事故につながるリスクもあります。
社労士に業務委託をする際は、事前の慎重な検討と計画を行うことで、社労士の専門知識とサービスを効果的に利用し、組織の効率化や成長につなげることができるでしょう。