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令和7年改正|仕事と介護の両立支援制度の強化が義務化
令和6年5月24日、第213回国会で「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(以下、育児・介護休業法)」の改正案が成立しました。本改正案には、介護離職防止を目的とした仕事と介護の両立支援制度(以下、両立支援制度)の強化が盛り込まれています。この改正は、令和7年4月から施行される予定であり、企業にとっては重要な法改正となります。
改正の背景
現在、日本では年間約10万人が介護を理由に離職しています。このような状況は、企業の事業継続や組織運営に大きなリスクをもたらしています。介護に関する制度の認知や理解が進まず、支援策を知らずに離職に至るケースが多いのが現状です。これを受け、政府は介護離職を防ぐために両立支援制度を強化することを決定しました。
具体的な改正点
今回の法改正には、以下の4つの主要な変更点が含まれています。
意向確認義務
労働者が家族の介護を必要とする状況に至ったことを事業主に申し出た際、事業主は介護両立支援制度等について個別に周知し、意向を確認する義務を負います。これにより、労働者が利用可能な制度について確実に知ることができ、適切な支援を受けられるようになります。また、事業主は労働者の申出に対して不利益な取り扱いをしてはならないとされています。
環境整備義務
労働者が介護保険の第2号被保険者となる40歳のタイミングなどにおいて、事業主は介護両立支援制度に関する情報提供を早期に行うことが義務付けられます。さらに、労働者への研修や相談体制の整備など、雇用環境の整備も求められます。これにより、労働者が将来的に介護が必要になった際にも、事前に必要な知識と支援を得ることが可能となります。
労使協定の対象範囲の変更
介護休暇について、これまで労使協定に基づき勤続6月未満の労働者を除外することができましたが、この除外規定が廃止されます。これにより、勤続期間に関わらず、全ての労働者が介護休暇を取得できるようになります。
テレワークの推進
家族を介護する労働者が介護休業を取得していない場合に、事業主が講ずる措置として、テレワークが新たに追加されます。これにより、介護と仕事の両立がより柔軟に行えるようになります。テレワークの導入は、介護を必要とする家族がいる労働者にとって大きな助けとなるでしょう。
企業への影響と対策
この改正により、企業は労働者の介護離職を防ぐための支援制度の整備を義務付けられます。これに伴い、企業は内部の制度見直しや研修の実施、相談窓口の設置などを行う必要があります。また、労働者の意向を尊重し、適切な対応を取ることで、働きやすい職場環境を整備することが求められます。
改正法の施行は令和7年4月1日です。改正に備え、企業は早めに対応策を講じることをおすすめします。これにより、労働者の介護離職を防ぎ、組織全体の生産性を維持することができます。また、労働者が安心して働ける環境を提供することで、企業の魅力向上にも繋がるでしょう。